



「自立支援医療を使うと、精神科の診察代が1割になると聞いたけれど、薬局で支払う薬代も1割になるの?」「精神科でもらった薬と、ほかの薬が一緒に処方された場合はどうなるの?」という疑問を持つ方は少なくありません。
結論からいうと、自立支援医療(精神通院医療)の対象となる精神疾患の治療に必要な薬については、薬局で支払う薬代も原則として1割負担になります。
ただし、注意したいのは「精神科や心療内科から処方された薬なら、すべて1割になる」という制度ではないことです。自立支援医療が対象としているのは、あくまで精神疾患の通院治療と、それに関連する医療です。そのため、高血圧、糖尿病、風邪など、精神疾患とは関係のない身体疾患を治療するための薬は、原則として自立支援医療の対象にはなりません。
💡 この記事のポイント
自立支援医療にはいくつか種類がありますが、精神科や心療内科の通院で利用されるものは、正式には「自立支援医療(精神通院医療)」と呼ばれます。
精神疾患の治療は、一度受診して終わるとは限りません。うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害、強迫症などでは、一定期間の通院や薬物療法が必要となることがあります。症状が改善した後も、再発を防ぐ目的で治療を続けることもあります。
このように精神科への継続的な通院が必要な方について、医療費の自己負担を軽減するために設けられている制度が自立支援医療です。
一般的に健康保険で3割負担となっている方の場合、自立支援医療が適用される診療については、自己負担が原則1割になります。
例:保険診療としての医療費が10,000円の場合、通常3割負担なら自己負担は3,000円です。自立支援医療の対象となれば、原則1割となるため自己負担は1,000円となります。
さらに、自立支援医療では、所得や病状などに応じて1か月の自己負担上限額が設定される場合があります。そのため、「毎回1割を払い続ける」というだけではなく、対象となる方では一定額に達した後、その月の自己負担がそれ以上増えない仕組みもあります。
ここは非常によく質問されるところです。
自立支援医療の対象となる精神疾患を治療するために処方された薬であれば、薬局で支払う薬代についても原則1割負担になります。
自立支援医療は、精神科・心療内科の「診察代だけ」を安くする制度ではありません。精神疾患の通院治療に必要な医療全体を対象としているため、外来診療だけではなく、対象となる薬物療法の費用についても制度が適用されます。
✅ 原則1割になるもの
ただし、どこの医療機関、どこの薬局でも自動的に1割になるわけではありません。原則として、自立支援医療の指定医療機関であり、さらに受給者証に登録されている医療機関・薬局を利用する必要があります。
患者さんにとって最も分かりやすい考え方は、「精神疾患を治療するための薬は自立支援医療の対象になり、精神疾患とは関係のない身体の病気の薬は原則対象外」というものです。
精神疾患の治療のために必要な薬。抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬、気分安定薬など、対象となる精神疾患の治療として処方される薬剤。
精神疾患とは関係のない高血圧、糖尿病、風邪、一般的なアレルギーなど、別の身体疾患を治療するための薬。
ただし、ここで大切なのは「薬が何という分類なのか」だけで決まるわけではないという点です。
同じ薬でも複数の病気に使用されることがあります。その場合、自立支援医療の対象になるかどうかは、単純に薬の商品名だけで決めるのではなく、「どの病気の、どのような治療のために処方されているのか」という医療上の位置づけが重要になります。
自立支援医療を利用している方が精神科や心療内科を受診しているからといって、すべての病気の医療費が1割になるわけではありません。
自立支援医療(精神通院医療)の対象は、精神障害および精神障害に起因して生じた病態に対する通院医療です。逆に、精神疾患・精神障害と関係のない疾患の医療費は対象外です。
原則として対象外となる例
つまり、「自立支援医療を持っている=病院でかかる医療費が全部1割」ではありません。
自立支援医療で重要なのは、診療科の名前そのものではなく、「自立支援医療の対象となる精神疾患の治療として行われているかどうか」です。
たとえば、精神科や心療内科の診察中に、「今日は風邪もひいているので風邪薬もください」という形で精神疾患とは直接関係のない薬が処方されたとしても、「精神科から出た処方箋だから」という理由だけで、その薬まで必ず自立支援医療の対象になるわけではありません。
逆に、一見すると「精神科の薬」に見えない薬であっても、精神疾患の治療そのものや、その治療に関連して生じた病態への治療として位置づけられる場合には、対象になることがあります。
⚠️ ポイント
「精神科から処方されたか」だけではなく、「精神疾患の治療に必要な医療なのか」で考えるのが基本です。
少し複雑なのが、精神科の薬による副作用などを治療するために別の薬が処方される場合です。
制度上、自立支援医療は精神障害そのものだけでなく、精神障害の治療に関連して生じた病態などについても、一定の範囲で対象となる考え方があります。
たとえば、精神科治療との関連が明確な副作用や症状について、精神通院医療を担当する医師が通院治療として対応する場合には、自立支援医療の対象となることがあります。
ただし、すべての副作用対策薬や身体症状の薬が自動的に対象になるという意味ではありません。対象となる精神疾患との関係、処方目的、治療内容などによって判断されます。
そのため、「この薬は精神科の薬だから1割」「この薬は胃薬だから絶対に3割」というように、薬の種類だけで完全に分けられるものではありません。
薬そのものが自立支援医療の対象であっても、どこの薬局でも1割になるわけではありません。
自立支援医療では、「指定自立支援医療機関」という制度があります。病院・診療所だけでなく、薬局についても指定を受けている必要があります。
さらに、原則として自立支援医療受給者証に登録された薬局を利用します。
たとえば、いつも利用しているA薬局を自立支援医療の薬局として登録している場合、通常はそのA薬局で制度を利用します。一方、「今日は別の場所にいたのでB薬局に処方箋を持っていった」という場合、B薬局が受給者証に登録されていなければ、そのまま制度を利用できるとは限りません。
自治体によって手続きの細部は異なります。薬局を変更する場合には、「指定薬局かどうか」だけでなく「自分の受給者証に登録されている薬局かどうか」も確認することが大切です。
もう一つ注意したいのが、「薬局が登録されていれば、どこの病院の処方箋でも1割になる」というわけではないことです。
たとえば、自立支援医療で「精神科Aクリニック」と「B薬局」を登録しているとします。Aクリニックから発行された、自立支援医療の対象となる精神科治療の処方箋をB薬局に持っていく場合は制度の対象となります。
しかし、別の内科Cクリニックで高血圧の薬を処方してもらい、その処方箋を同じB薬局に持っていったからといって、高血圧の薬まで自立支援医療で1割になるわけではありません。
といった点も関係します。
薬局で支払う金額には、薬そのものの価格だけではなく、保険診療上のさまざまな費用が含まれています。
そのため、「薬価が1,000円だから100円払えばよい」という単純な計算ではありません。
処方内容や調剤内容などによって薬局で算定される医療費全体が決まり、そのうち自立支援医療の対象となる部分について原則1割を負担するという仕組みです。
大切なのは、「薬そのものが90%引きになる」のではなく、「対象となる保険診療について患者さんの自己負担割合が原則1割になる」ということです。
自立支援医療では、所得や病状などによって「自己負担上限月額」が設定される方がいます。
この場合、病院と薬局で別々に上限が設定されるわけではありません。自立支援医療の対象となる医療機関、薬局、訪問看護などで支払った自己負担額を合計して管理します。
例:自己負担上限月額が5,000円の方が、精神科クリニックで1,500円、薬局で2,500円、次の診察で1,000円を支払った場合、合計5,000円となります。制度上の上限額に達した後は、その月についてそれ以上の自立支援医療の自己負担が生じない仕組みがあります。
自己負担上限額管理票を交付されている方は、医療機関だけでなく薬局でも提示することが重要です。
市販の風邪薬、睡眠改善薬、鎮痛薬、胃薬、サプリメントなどをドラッグストアで購入した場合は、自立支援医療の対象にはなりません。
自立支援医療は、公的医療保険を利用して行われる対象医療について自己負担を軽減する制度です。そのため、健康保険が適用されない市販薬を自分で購入する場合には、自立支援医療は利用できません。
自立支援医療が適用されるのは、原則として対象となる保険診療です。
などは、自立支援医療の対象にはなりません。
自立支援医療を利用して診察代が1割になっている方でも、会社に提出する診断書を作成してもらった場合、その診断書代まで1割になるわけではありません。
自立支援医療の対象となる精神疾患の治療として処方され、登録された指定薬局で調剤を受ける場合には、原則として対象になります。
対象となる精神疾患の通院治療として処方されている場合には、原則として対象になります。
精神疾患とは関係のない一般的な身体疾患の治療は、自立支援医療の対象外となるのが原則です。「同じ精神科から処方された」というだけですべての薬が対象になるわけではありません。
精神疾患と関係のない高血圧や糖尿病などの治療薬は、原則として対象外です。通常の健康保険の自己負担割合が適用されます。
精神疾患の治療に関連して生じた病態として対象になる場合があります。ただし、薬の種類だけで一律に決まるものではなく、治療との関連性などによって判断されます。
自立支援医療の対象となる保険診療の処方であれば、先発医薬品か後発医薬品かという点だけで制度の対象外になるわけではありません。
原則として受給者証に登録された指定薬局を利用します。薬局を変更する場合には、自治体への変更手続きが必要になることがあります。
なりません。精神通院医療は、対象となる精神疾患の通院医療の自己負担を軽減する制度です。精神疾患と関係のない一般的な内科治療まで一律1割になる制度ではありません。
自立支援医療については、「受給者証を持っているから医療費が全部1割になる」という理解をしてしまうと、薬局やほかの診療科を受診した際に混乱しやすくなります。
制度を理解するうえで重要なのは、「自立支援医療の対象となる精神疾患の通院治療について、自己負担が原則1割になる」ということです。
診察だけではなく、精神疾患の治療に必要な薬代も対象になります。一方で、精神疾患とは関係のない身体疾患の医療費や薬代については、原則として通常の健康保険の自己負担となります。
自立支援医療(精神通院医療)を利用すると、対象となる精神疾患の通院医療について、自己負担は原則1割になります。
そして、この1割負担は精神科・心療内科の診察代だけではありません。精神疾患の治療のために処方される薬についても、原則として薬局での自己負担が1割になります。
原則1割
原則として通常の保険負担
ただし、精神科治療の副作用に対する治療など、精神疾患の治療との関連性によって対象になる場合もあります。そのため、実際の適用は単純な薬の名前ではなく、治療目的や病態との関係によって判断されます。
また、薬代を自立支援医療の対象とするには、登録された指定医療機関からの対象となる処方箋を、原則として受給者証に登録された指定薬局で調剤してもらう必要があります。
制度の具体的な手続きや登録できる医療機関・薬局の数、薬局変更時の扱いなどは自治体によって異なることがあるため、最新情報はお住まいの自治体の公的案内を確認してください。
参考文献・公的資料
※本記事は自立支援医療(精神通院医療)の一般的な制度について解説したものです。制度の運用、必要書類、指定医療機関・薬局の登録方法などは自治体や個別の状況によって異なる場合があります。最新の取扱いは各自治体の公的案内をご確認ください。