心のクリニック
院長ブログ
■ショートスリーパー

「毎日4〜5時間しか寝ていないけれど、昼間は眠くない」「短い睡眠でも元気に活動できるので、自分はショートスリーパーなのではないか」。このように考えたことがある方もいるかもしれません。

一方、SNSやインターネットでは、「睡眠時間を短くすれば自由な時間が増える」「訓練すればショートスリーパーになれる」といった情報を目にすることもあります。しかし、ここには大切な注意点があります。

医学的に研究されているナチュラルショートスリーパー(natural short sleeper)とは、単に睡眠時間を削って生活している人ではありません。もともと必要な睡眠時間そのものが短く、短時間睡眠でも十分な休養が得られ、日中の眠気や認知機能低下などがほとんどみられない人を指します。

「4時間しか寝ていない人」と「4時間で本当に足りている人」は、まったく同じではありません。

💡この記事のポイント
本当の意味でのナチュラルショートスリーパーは存在すると考えられています。しかし、かなり特殊な体質です。多くの「睡眠時間が短い人」はショートスリーパーなのではなく、仕事、育児、スマートフォン、夜更かし、ストレスなどによって必要な睡眠を十分に取れていない状態である可能性があります。

1. 😴 ショートスリーパーとは

一般には、平均的な人よりもかなり短い睡眠時間で生活している人を「ショートスリーパー」と呼ぶことがあります。ただし、この言葉は日常会話ではかなり幅広く使われており、「毎日5時間しか寝る時間がない人」までショートスリーパーと呼ばれてしまうことがあります。

医学・睡眠研究の世界で特に注目されているのは、自然短時間睡眠者(natural short sleeper)、あるいは家族内でみられる場合の家族性自然短時間睡眠(Familial Natural Short Sleep:FNSS)です。

研究では、こうした人の中に4〜6時間程度の睡眠でも自然に目が覚め、それ以上眠りたいという欲求がなく、日中も良好に活動できる人がいることが報告されています。

重要なのは、「頑張って短く寝ている」のではないという点です。

✅ ナチュラルショートスリーパーにみられやすい特徴

  • 昔から睡眠時間が短い
  • 無理に睡眠時間を削っているわけではない
  • 短時間で自然に目が覚める
  • 起床後の休養感がある
  • 昼間に強い眠気を感じない
  • 休日に何時間も寝だめする必要がない
  • 集中力や仕事の能率が大きく低下していない
  • 家族にも睡眠時間の短い人がいる場合がある

ただし、これらはあくまで特徴であり、自己判断だけで「自分は遺伝的なショートスリーパーだ」と診断できるものではありません。

2. 🧬 本当に「短い睡眠で足りる遺伝子」はあるのか

ショートスリーパーが注目される大きなきっかけになったのが、睡眠時間に関係する遺伝子研究です。

2009年、研究者らは、自然に睡眠時間が短い家系を調べ、DEC2という遺伝子の変異と短時間睡眠との関連を報告しました。DEC2は現在、BHLHE41という名称でも知られています。

その後も、家族性自然短時間睡眠に関連する遺伝子として、

  • BHLHE41(DEC2)
  • ADRB1
  • NPSR1
  • GRM1

などが研究されています。

たとえばADRB1はβ1アドレナリン受容体、NPSR1はニューロペプチドS受容体、GRM1は代謝型グルタミン酸受容体に関係する遺伝子です。これらの研究から、睡眠時間には生活習慣だけではなく、脳の覚醒・睡眠制御システムに関係する遺伝的要因が影響している可能性が分かってきました。

ただし、ここで誤解してはいけません。

「ショートスリーパー遺伝子を持っている人が世の中に大量にいる」と証明されたわけではありません。

これまでの研究は、非常に特徴的な家系や少数の症例から見つかった稀な遺伝子変異を研究したものが中心です。一般人口でこれらの遺伝子変異がどの程度睡眠時間を決めているのかについては、まだ分からないことも多くあります。

したがって、市販の遺伝子検査などで一つの遺伝子だけを調べて「あなたはショートスリーパーです」と単純に判定できる段階ではありません。

3. ⏰ 「睡眠時間が短い」と「必要睡眠時間が短い」は違う

ショートスリーパーを理解するうえで、最も重要なのがこの違いです。

たとえば、本来7時間半程度の睡眠を必要としている人が、仕事のため毎朝6時に起きなくてはならず、深夜1時までスマートフォンを見ているとします。この人の睡眠時間は5時間です。

しかし、この人は「5時間睡眠のショートスリーパー」なのではありません。

単純に、必要な睡眠時間に対して睡眠が2時間半不足している可能性があります。

一方、ナチュラルショートスリーパーは、5時間程度眠ると自然に目覚め、さらに2時間眠ろうとしても必要性を感じません。短く寝ようと努力しているのではなく、もともとの睡眠欲求が異なると考えられています。

⚠️ 大切な違い
「睡眠時間が短い」という結果だけでは、本当のショートスリーパーなのか、慢性的な睡眠不足なのかを区別できません。重要なのは、本人にとって必要な睡眠量が満たされているかです。

4. 🛌 成人にはどのくらいの睡眠が必要なのか

必要な睡眠時間には個人差があります。また、年齢によっても変化します。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。同時に、睡眠時間だけではなく「睡眠によって休養がとれた感覚」、すなわち睡眠休養感も重要とされています。

一方、米国睡眠医学会(AASM)とSleep Research Societyによる成人の睡眠時間に関するコンセンサスでは、健康増進のために成人は定期的に7時間以上眠ることが推奨されています。

「6時間」と「7時間」という数字だけを見ると違うように感じますが、どちらも「全員が必ず同じ時間眠らなければならない」という意味ではありません。集団として健康を考えたときの目安であり、実際の必要睡眠時間には個人差があります。

大切なのは、数字だけを追いかけることではなく、

  • 朝、ある程度すっきり目覚められるか
  • 午前中から強い眠気がないか
  • 仕事や勉強に集中できるか
  • 休日に極端な寝だめをしていないか
  • 日中に居眠りをしていないか
  • 睡眠によって十分に休養できたと感じるか

といった点を含めて考えることが重要です。

5. 📱 現代人の「ショートスリーパー」の多くは睡眠不足かもしれない

現在は、意識しなければ睡眠時間を簡単に削ることができる社会です。

仕事の残業、長い通勤時間、育児や介護、動画配信サービス、ゲーム、SNS、スマートフォンなどによって、就寝時刻は簡単に遅くなります。しかし、学校や仕事がある以上、朝起きる時間を同じだけ遅くすることはできません。

その結果、

「昔から5時間睡眠で生活しています」

という人でも、実際には長期間にわたって睡眠不足に慣れてしまっている可能性があります。

睡眠不足で注意しなければならないのは、本人の「慣れ」と、脳の機能が完全に保たれていることは同じではないという点です。

有名な睡眠制限実験では、健康な成人の睡眠機会を1日4時間または6時間に制限したところ、14日間にわたり認知機能上のパフォーマンス低下が蓄積していくことが示されました。

つまり、

「5〜6時間睡眠に慣れたから大丈夫」と感じていても、本当に脳が十分に回復しているとは限りません。

本人が主観的にはそれほど困っていなくても、反応速度や注意力などに影響が蓄積する場合があります。

6. 🚨 「休日に寝だめする」は一つのヒント

「自分は平日5時間睡眠で大丈夫」という人に確認したいことの一つが、休日の睡眠です。

平日は0時に寝て朝5時30分に起きているのに、休日になると朝10時、11時まで眠っているのであれば、身体は平日の睡眠不足を取り戻そうとしている可能性があります。

もちろん、休日に少し長く眠るだけでショートスリーパーではないと断定することはできません。しかし、

  • 休日は平日より何時間も長く眠る
  • 目覚まし時計がないと起きられない
  • 午前中から眠い
  • 電車ですぐ眠ってしまう
  • 昼休みに眠らないと午後を乗り切れない
  • 会議や授業中に眠くなる
  • 運転中に眠気を感じる

といった状態があるなら、「短時間睡眠でも十分な体質」というより、睡眠不足が残っていないかを考える必要があります。

特に運転中に眠気を感じる場合は、安全上の問題につながるため注意が必要です。

7. 🧠 睡眠不足はメンタルヘルスとも関係する

睡眠は単なる「身体を休ませる時間」ではありません。脳の機能、感情の調整、記憶、注意力などにも深く関係しています。

人口を対象とした研究では、短い睡眠時間は、肥満、糖尿病、高血圧、心血管疾患などの身体疾患だけでなく、不安や抑うつなどの精神的な不調とも関連することが報告されています。

ただし、ここには注意が必要です。

「睡眠時間が短いから必ずうつ病になる」という単純な因果関係ではありません。ストレスやうつ状態によって眠れなくなることもありますし、不眠によって精神状態が悪化することもあります。睡眠とメンタルヘルスは、互いに影響し合っています。

そのため、診療では単純に「何時間眠っていますか」だけではなく、

  • 寝つくまでどのくらいかかるか
  • 途中で何度も目が覚めないか
  • 朝早く目が覚めてしまわないか
  • 起きた時に休養感があるか
  • 日中に眠気があるか
  • 最近ストレスが増えていないか
  • 気分の落ち込みや不安がないか

といった点を総合的にみていきます。

8. ⚠️ 精神科で特に注意したい「睡眠欲求の低下」

精神科では、「最近ほとんど寝なくても平気です」という訴えを聞いた時に、ショートスリーパーだけではなく躁状態・軽躁状態について考える必要があります。

特に重要なのは、

「昔から4〜5時間睡眠だった」

のではなく、

「以前は7時間眠っていたのに、最近突然3時間程度でも平気になった」

という変化です。

躁状態や軽躁状態では、単なる不眠とは異なり、睡眠をあまり取っていないのに疲れを感じず、むしろ活動性が高くなることがあります。

🚨 睡眠時間の急な減少と一緒に注意したい症状

  • 以前より異常に元気になった
  • 話す量が急に増えた
  • 次々にアイデアが浮かぶ
  • 仕事や趣味を休まず続ける
  • 予定を大量に入れる
  • 買い物や投資などでお金を使いすぎる
  • 気が大きくなる
  • 怒りっぽくなる
  • 周囲から「最近いつもと違う」と言われる

このような状態であれば、「自分はショートスリーパーになった」と考えるのではなく、双極性障害などを含めて専門家に相談することが重要です。

生まれつきのショートスリーパーは、通常、突然ショートスリーパーになるわけではありません。

ここは非常に重要なポイントです。

9. 🌙 不眠症とも違う

「睡眠時間が短い」という点だけを見ると、ショートスリーパーと不眠症は似ているように感じます。しかし、両者は大きく異なります。

不眠症では、

  • 眠りたいのに寝つけない
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 朝早く目覚め、その後眠れない
  • 十分眠った感じがしない

といった夜間の問題に加え、疲労感、眠気、集中力低下、気分の不調など日中生活への影響が問題になります。

一方、真のナチュラルショートスリーパーは、「もっと眠りたいのに眠れない」という状態ではありません。本人にとって必要な睡眠が短時間で満たされていると考えられます。

厚生労働省のe-ヘルスネットでも、必要睡眠時間には個人差があり、ごく稀に3〜4時間ほどの睡眠で間に合うショートスリーパーが存在する一方、不眠症では日中の不調が重要であることが解説されています。

したがって、睡眠時間の数字だけで不眠症かどうかを判断することはできません。

10. 🏃 「訓練すればショートスリーパーになれる」のか

「睡眠時間を少しずつ削れば身体が慣れて、最終的には3〜4時間睡眠で生活できるようになる」という考え方があります。

しかし、現在の医学的知見から、一般の人が訓練によって生来のナチュラルショートスリーパーと同じ状態になれると考えるのは慎重であるべきです。

睡眠時間を減らせば、確かに「短い睡眠時間で生活すること」自体には慣れるかもしれません。しかし、それは身体に必要な睡眠時間そのものが短くなったことを意味しません。

たとえば、毎日7時間半必要だった人が、睡眠時間を5時間に削り続ければ、その生活リズム自体には慣れていくことがあります。

しかし、

  • 注意力が低下していないか
  • 判断ミスが増えていないか
  • イライラしやすくなっていないか
  • 食欲が乱れていないか
  • 休日に長時間眠っていないか
  • カフェインで眠気を無理に抑えていないか

まで確認しなければ、本当に睡眠が足りているとは判断できません。

睡眠は「時間を生み出すために削るもの」というより、残りの起きている時間の脳と身体の機能を保つために必要な時間と考える方がよいでしょう。

11. ☕ カフェインで眠くないだけでは「睡眠が足りている」とはいえない

もう一つ注意したいのが、コーヒー、エナジードリンク、緑茶などに含まれるカフェインです。

カフェインには覚醒作用があるため、睡眠不足による眠気を一時的に感じにくくすることがあります。そのため、

「毎日5時間睡眠だけれど眠くない」

という人でも、

「朝にコーヒーを2杯、昼にもコーヒー、夕方にはエナジードリンクを飲んでいる」

のであれば、本来の眠気がカフェインによって隠されている可能性があります。

同じように、仕事中は緊張して眠くないのに、帰宅した途端に強い眠気が出る人もいます。

したがって、ショートスリーパーかどうかを考える時には、単に「勤務中に眠くならない」という一点だけではなく、カフェインや緊張による覚醒を除いても、本当に日中の覚醒状態が安定しているかを見る必要があります。

12. 🔍 自分がショートスリーパーか考えるためのチェックポイント

現時点では、一般の医療機関で「あなたは遺伝的ショートスリーパーです」と簡単に確定する検査があるわけではありません。

ただし、自分の睡眠を振り返るための目安はあります。

✅ 確認してみたいポイント

  • 子どもの頃や若い頃から睡眠時間が短かったか
  • 休暇中でも自然に短時間で目が覚めるか
  • 目覚まし時計がなくても起きるか
  • 休日に寝だめしなくても平気か
  • 昼寝を必要としていないか
  • 日中の集中力が保たれているか
  • 起床時に疲労感が残っていないか
  • カフェインを大量に摂取していないか
  • 最近になって急に睡眠時間が減ったわけではないか
  • 家族にも似たような睡眠パターンの人がいるか

特に分かりやすいのが、長期休暇中の睡眠です。

仕事や学校、目覚まし時計などの制約が少ない状態で、数日からある程度の期間、自然に眠れる環境を作った時にどうなるかを観察します。

普段は5時間しか寝ていないのに、自由に眠れると7〜8時間眠るのであれば、普段の5時間睡眠は「必要睡眠時間」ではなく、社会生活によって制限された睡眠時間である可能性があります。

反対に、十分な睡眠機会を与えても自然に5時間程度で目覚め、日中も問題なく過ごせるのであれば、必要睡眠時間が比較的短い可能性はあります。

ただし、これだけでFNSSを医学的に確定できるわけではありません。

13. 📝 睡眠日誌をつけると分かりやすい

自分の睡眠を客観的に振り返りたい場合には、睡眠日誌をつける方法があります。

1〜2日だけではなく、可能であれば数週間記録してみると、自分の睡眠パターンが分かりやすくなります。

📝 記録する項目の例

  • 寝床に入った時刻
  • 眠ったと思われる時刻
  • 朝目覚めた時刻
  • 寝床から出た時刻
  • 夜中に目覚めた回数
  • 昼寝の有無
  • 日中の眠気
  • その日の気分
  • カフェインや飲酒
  • 運動の有無

スマートウォッチなどのウェアラブル端末も、自分の睡眠パターンの変化を把握する参考にはなります。ただし、家庭用ウェアラブル端末による「睡眠ステージ」などの表示を、医療機関で行う睡眠検査と同じ精度のものと考える必要はありません。

細かな数字を気にしすぎて、かえって睡眠への不安が強くなる場合もあります。睡眠は数字だけではなく、翌日の休養感と生活機能も含めて判断することが大切です。

14. 🩺 短時間睡眠の背景に睡眠障害が隠れていることもある

睡眠時間が短い場合、その背景に別の睡眠障害や身体疾患がないかという視点も重要です。

たとえば、

  • 不眠症
  • 睡眠・覚醒リズムの問題
  • 閉塞性睡眠時無呼吸
  • むずむず脚症候群
  • うつ病
  • 双極性障害の躁状態・軽躁状態
  • 甲状腺機能など身体的な問題
  • 薬剤やカフェインなどの影響

などによって睡眠が変化する場合があります。

特に、いびきが非常に大きい、睡眠中に呼吸が止まると言われる、十分寝ているのに昼間強烈に眠い、といった場合には睡眠時無呼吸なども考える必要があります。

「睡眠時間が短いからショートスリーパー」と一括りにするのではなく、なぜ睡眠が短いのかを見ることが重要です。

15. 🌅 本当にショートスリーパーなら無理に長く寝る必要がある?

反対に、本当に必要睡眠時間が短く、昼間の生活にもまったく支障がない人が、「健康のためには絶対に8時間眠らなければならない」と考え、必要以上に長く寝床にいる必要もありません。

睡眠には個人差があります。

厚生労働省も、睡眠時間そのものだけではなく、日中の状態や睡眠休養感を重視しています。

眠くないのに早くから寝床に入り、「8時間寝なくてはいけない」と時計ばかり気にしていると、かえって眠れない時間が増え、不眠への不安が強くなることがあります。

したがって、

「睡眠時間は短ければ短いほど優秀」でもなければ、「必ず8時間眠らなければ不健康」でもありません。

自分に必要な睡眠時間を確保し、翌日を良好な状態で過ごせることが大切です。

16. ❓ よくある質問

Q. 4時間睡眠でも眠くありません。ショートスリーパーでしょうか?

睡眠時間だけでは判断できません。昔から同じ睡眠時間なのか、休日にも同じなのか、日中の眠気や集中力低下がないか、カフェインに頼っていないかなどを含めて考える必要があります。

Q. ショートスリーパーは遺伝しますか?

家族性自然短時間睡眠では、BHLHE41(DEC2)、ADRB1、NPSR1、GRM1などに関する遺伝研究があります。しかし、睡眠時間は多数の遺伝的要因や環境要因から影響を受けるため、単純に一つの遺伝子だけで決まるとは考えられていません。

Q. 訓練すれば3時間睡眠にできますか?

睡眠時間を意図的に短縮することと、必要睡眠時間そのものが短いナチュラルショートスリーパーになることは別です。慢性的な睡眠制限では認知機能低下が蓄積することも報告されているため、単に睡眠を削る方法は勧められません。

Q. 5時間睡眠でも仕事ができていれば大丈夫でしょうか?

仕事を続けられていることだけでは、睡眠が十分とは判断できません。休日の寝だめ、日中の眠気、ミス、集中力、イライラ、起床時の疲労感なども確認してみましょう。

Q. 最近突然3時間睡眠でも平気になりました。

以前と比べて睡眠欲求が急激に低下した場合は注意が必要です。特に、活動性の上昇、多弁、気分の高揚、怒りっぽさ、浪費などを伴う場合には、躁状態・軽躁状態の可能性も含めて精神科・心療内科への相談を検討してください。

17. 🌿 まとめ ― 目指すべきは「短時間睡眠」ではなく「自分に必要な睡眠」

ショートスリーパーについて考える時に最も大切なのは、睡眠時間の短さそのものを能力のように考えないことです。

確かに、遺伝的な背景によって4〜6時間程度の睡眠でも十分に活動できる、ナチュラルショートスリーパーと考えられる人は存在します。BHLHE41(DEC2)、ADRB1、NPSR1、GRM1など、睡眠時間に関連する遺伝子研究も進んできました。

しかし、このような人は特殊な存在であり、研究対象となっている遺伝子変異も稀なものです。

多くの人にとって、

「4時間しか寝ていない」

ことと、

「4時間しか睡眠を必要としない」

ことは同じではありません。

🌙 最も大切なこと
ショートスリーパーになることを目標にする必要はありません。目指すべきなのは、睡眠時間を最短にすることではなく、自分の脳と身体に必要な睡眠を確保し、起きている時間を良い状態で過ごすことです。

また、「以前より急に眠らなくても平気になった」「短時間しか眠れず、日中もつらい」「休日に何時間も寝てしまう」「気分の落ち込みや不安、気分の高揚を伴っている」といった場合には、単なる体質ではなく、睡眠障害や精神疾患が背景にある可能性があります。

睡眠の問題が続いて生活に影響している場合には、一人で睡眠時間の数字だけを調整しようとせず、精神科・心療内科などの医療機関へ相談することも一つの方法です。

📚 参考文献・参考資料

  1. 厚生労働省.健康づくりのための睡眠ガイド2023.
    厚生労働省 睡眠対策
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    e-ヘルスネット「不眠症」
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  10. Centers for Disease Control and Prevention. Sleep and Chronic Disease / Sleep Facts and Stats.

※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の診断や治療を行うものではありません。睡眠の問題が長く続く場合や、日常生活に支障がある場合、睡眠時間が急激に変化した場合には医療機関へご相談ください。