

過敏性腸症候群(IBS)は大腸や腸の働きに異常が起こり、腹痛や便秘、下痢といった症状が長期に続く機能性疾患です。
ポイント
大腸内視鏡などの検査をしても大きな病変が見つからないにもかかわらず、便通の変化や腹部の不快感が日常生活に影響します。日本では10〜15%の人が経験しており、20〜40歳代の若い世代に多く、女性の方がやや多いと報告されています。
この記事では、IBSに伴う腹痛の特徴と原因、対策について解説します。
IBSの腹痛は腸の過敏性によって起こると考えられています。腸の神経が過剰に反応するため、わずかな食物の刺激やストレスでも痛みを感じやすくなります。痛みの感じ方は人それぞれですが、一般的には次のような特徴があります。
腹痛の特徴
下痢型では、便意を感じた後にトイレへ駆け込むことが多く、泥状便や水様便が出やすい傾向があります。排便すると腹痛が治まることが多い一方、緊張や不安で症状が強まることもあります。
便秘型の場合は便が硬く短く、腹痛を伴い、排便すると楽になることがあります。
混合型では便秘と下痢を交互に繰り返すため、腸の動きが不安定になり腹痛が生じます。
腸には多くの神経細胞があり、脳と双方向に影響し合っています。ストレスや不安を感じると脳から腸へ信号が送られ、セロトニンが過剰に分泌されることで腸の動きが乱れ、腹痛や下痢を引き起こすことがあります。心理的ストレスや不安によるホルモンの変化が腸の神経系に影響し、蠕動運動が過剰または低下することでガスや便が溜まりやすくなり、腹痛が生じると考えられています。
ポイント
また、特定の食物が腸を刺激することもあります。脂質の多い食事、香辛料、アルコール、カフェインなどは腸を刺激し、痛みを悪化させることがあります。そのため、症状が強い場合には低FODMAP食が推奨されることがあります。
腸内フローラ(腸内細菌叢)の乱れも腸の過敏性を高め、腹痛を悪化させることがあります。体質や症状により合う・合わないはありますが、乳酸菌やプロバイオティクスの摂取が有効とされることもあります。
IBSは主な症状によって下痢型、便秘型、混合型、分類不能型に分けられます。
タイプ別の特徴
男性は腹痛と下痢を主症状とする下痢型、女性は便秘型が多い傾向があるとされます。
IBSの腹痛は生活習慣の影響を大きく受けるため、まずは毎日のリズムを整えることが重要です。以下の習慣は、腸の働きを整え腹痛を和らげるのに役立ちます。
日常でできる対策
生活習慣の見直しを行っても腹痛が続く場合や、腹痛とともに発熱、血便、体重減少などの気になる症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。
受診を検討する目安
IBSの診断は症状に基づき、必要に応じて血液検査や大腸内視鏡などの検査が行われ、他の病気(潰瘍性大腸炎やクローン病など)を除外した上で診断されます。
診断後は、症状に合わせた薬物療法(便通を整える薬、抗下痢薬、鎮痙薬など)が行われることがあります。例えば、イリボーは下痢型IBSの症状に用いられることがあり、またコロネルは便の性状を整える目的で使われることがあります。治療は症状のタイプや体質、生活状況に合わせて調整されます。
IBSは「こころ」と「からだ」の両面の要因が関係する病気であり、心理的なケアと身体的なケアを並行して行うことが大切です。当院では、腹痛や便通異常にお悩みの方に対して、専門医による診察や薬物療法に加え、心理的サポートやストレスマネジメントのアドバイスを提供しています。ひとりで悩まず、ぜひご相談ください。