

仕事や家事がひと段落すると誰でも疲れを感じますが、休んでもだるさや重さが抜けず、日常生活に支障が出るほどの疲労感が続くときは注意が必要です。精神科・心療内科の診療現場では、慢性的な疲労感や倦怠感を訴える人が少なくありません。
ポイント
長引く疲労感の背景には、うつ病や抑うつ状態、適応障害、不安障害などの精神疾患が隠れていることがあります。うつ病では「朝からだるい」「何をするにも億劫」といった持続する疲労感が中核症状の一つで、仕事中はなんとか耐えていても帰宅後や休日に一気に疲れが出ることも多いと報告されています。
強いストレス下では交感神経が高ぶったままになり、睡眠時間は足りているのにまったく休まった感じがしないと感じることもあります。不安が続く状態では心も体も常に緊張しているためエネルギーを消耗しやすく、胃腸の不調や筋肉のこわばりなど身体症状が併発することもあります。
一方、休息によって回復する生理的な疲労は問題ありませんが、原因の見えにくい倦怠感には精神的疲労や身体疾患が関係していることが少なくありません。倦怠感は精神的疲労・生理的疲労・器質性疾患によるものに分けられ、内因性の精神疾患(統合失調症やうつ病、双極性障害など)による疲労感ではまず精神医学的治療を優先します。
自分では「気のせい」だと思っていても、こころのエネルギーが低下しているサインかもしれません。早めに心身の状態を見直すことが大切です。
まずは十分な休息をとり、規則正しい生活リズムを意識しましょう。過労や睡眠不足が続くとストレスや疲労が蓄積し、回復力が落ちてしまいます。休日は仕事のことを忘れてリラックスできる時間を意識的に作ることが重要です。朝の光を浴びる、適度な運動や規則正しい食事を心がけることで、体内時計や自律神経のバランスが整い、気分の安定を助けることができます。
ポイント
身近な家族や友人、職場の上司や人事担当者に気持ちを打ち明けることも大きな助けになります。一人で抱え込まず、体調や心の状態を相談して、負担軽減や勤務調整をお願いするのも方法の一つです。また、趣味の活動や運動など楽しみの時間をつくることで気分転換になり、ストレスを和らげることができます。
睡眠と食事の見直しに加え、外に出て新鮮な空気を吸ったり、ウォーキングやストレッチなど軽い運動を取り入れたりすることも気分の改善につながります。長時間働き詰めになっている人は、思い切って休暇を取ることが回復への第一歩です。アルコールやカフェインでごまかすのではなく、適切な休養と栄養補給を心がけましょう。
十分に休んでも疲労感や倦怠感が抜けない場合は、内科や精神科・心療内科など医療機関で相談してください。休息によって回復しない疲労感は、うつ病や不安障害など精神疾患の可能性があるだけでなく、感染症、内分泌疾患、貧血など様々な身体疾患が原因のこともあります。身体疾患が疑われる場合は内科的な検査や治療を優先し、精神疾患が明らかな場合は薬物療法やカウンセリングなど精神医学的治療を行います。
ポイント
病院で検査をしても「異常なし」と言われるのに疲労感が続く場合は、こころの状態や脳の働きの変化が関係していることが少なくありません。症状が長引くときは自己判断せずに専門家に相談し、必要に応じて休職や勤務調整など環境を整えることも検討しましょう。
早めに相談して適切な治療やサポートを受けることが、回復への近道です。当院でも原因のわからない疲労感や倦怠感についてご相談を受け付けていますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。