

リーマス(一般名:炭酸リチウム)は、もっとも古くから使われている代表的な気分安定薬です。躁うつ病(双極性障害)における「躁状態(ハイな状態)」と「うつ状態(落ち込んだ状態)」の両方の波を小さくし、フラットで安定した状態へ導きます。また、長期的には気分の波がぶり返すのを防ぐ再発予防効果に非常に優れており、現在でも治療の基本となる重要な薬剤です。
深く効く:作用の仕組み
作用機序は完全には解明されていませんが、脳の細胞レベルで多角的に働きかけます。
効果が現れるまでには1〜2週間程度かかります。即効性はありませんが、焦らず継続することで確実な安定をもたらします。
血中濃度の測定
リーマスは「効く量」と「中毒になる量」の幅が狭いお薬です。安全に使用するために、定期的な血液検査を行い、血中のリチウム濃度を管理する事が大切です。
炭酸リチウムは内服後、消化管から吸収され血中に移行します。腎臓から尿中にほとんど変化を受けず排泄されるため、腎機能が投与量に大きく影響します。一般的な半減期は約 12〜24時間で、体内に一定濃度を保つには毎日規則的に服用することが大切です。
血中濃度の範囲が狭く、有効な濃度と中毒を起こす濃度が近いため、定期的な血液検査で濃度を確認しながら用量を調整します。
投与方法と注意点
リーマスには100 mg錠と200 mg錠があり、症状や体格、血中濃度に合わせて医師が用量を調整します。通常、以下のような段階で服用量を決めます。
服用のポイント
リーマスの4つのメリット
特に重要な注意点(リチウム中毒)
こんな方に向いています
リーマスは効果が確実な反面、特徴的な副作用が出やすいお薬です。特に手の震えや喉の渇き・多尿は多くの患者さんが経験します。
リーマスは、体内の濃度が高くなりすぎると「リチウム中毒(ふらつき、嘔吐、意識障害など)」を起こす危険があります。そのため、定期的に採血をして、安全な濃度かどうかを確認する必要があります。
リーマス(炭酸リチウム)は、双極性障害の治療において再発予防効果が最も高いとされる「基本薬」です。特に「躁状態」を抑える力に優れ、自殺予防効果も報告されています。
ポイント:
リーマスは、双極性障害の治療において「最も頼りになるお薬」の一つです。定期的な血液検査などの手間はかかりますが、それを上回るメリット(再発予防、自殺予防)があるため、多くの患者さんに使われ続けています。
炭酸リチウムは胎盤や母乳を通じて赤ちゃんに移行するため、妊娠中や授乳中の服用には母子ともに非常に慎重な検討が必要です。
国内のガイドラインでは「原則として避ける」ことが推奨されています。
リチウムは母乳中へ高濃度に移行することが知られています。
妊娠を希望される方は、計画段階から主治医と相談し、定期的な血液検査とモニタリングを行う治療計画を立てましょう。
炭酸リチウムの服用により、めまいや眠気といった症状が出ることがあります。
【特に注意が必要な時期・状況】
以下のような場合は、運転や危険作業を控えることが推奨されます。
運転が必要な仕事をされている方は、治療の開始時期を休暇に合わせるなど安全な期間を設けることもひとつの方法です。また、日常生活でも階段の昇降や自転車の運転などバランス感覚を必要とする動作は慎重に行いましょう。
長距離運転や夜間の運転を予定している際は、事前に休息を取り、途中でこまめに休憩を挟んで体調を確認してください。眠気やめまいが続く場合は、医師に相談して服用量や時間を調整しましょう。
炭酸リチウムとアルコールの併用は、医学的に避けることが望ましい組み合わせです。特に炭酸リチウムは「水分バランス」が非常に重要なお薬であるため、アルコールの利尿作用(おしっこが近くなる作用)が大きなリスクとなります。
併用によるリスク
安全に治療を続けるためには、適切な水分摂取と、服用期間中の節酒・禁酒が非常に重要です。
どうしても飲酒の機会がある場合は、「脱水を防ぐために同量の水を飲む」「量を控える」など、医師と相談して慎重に対応してください。
炭酸リチウムは、気分の波を抑える「防波堤」のような役割をしています。長期間服用した後に急に止めると、抑えられていた波が押し寄せ、再発率が急激に高まることが知られています。
中止時の注意点
自己判断での中断は最も避けるべきお薬の一つです。
中止する際は、医師の指導のもとで、数週間から数ヶ月かけてゆっくりと段階的に減らしていきます。
「調子が良いから」は薬が効いている証拠です。減量や中止を考える際は、必ず医師と相談し、慎重に計画を立てていきましょう。
Q1効果が出るまでどれくらいかかりますか?
効果は急には現れず、1〜2週間かけて徐々に現れます。即効性がないからといって自己判断で中止したり量を増やしたりするのは危険です。血中濃度が安定するまで医師の指示通りに服用してください。
Q2水分補給や食事で気をつけることは?
ここが一番重要です。脱水や極端な減塩は、体内のリチウム濃度を急上昇させ、中毒を引き起こす原因になります。
・水分は適切にとる(とりすぎも制限しすぎもNG)。
・汗をかいたら塩分と水分を補給する。
・風邪で発熱や下痢があるときは脱水になりやすいため、すぐに医師に相談する。
Q3他の薬やサプリメントと一緒に飲んでも大丈夫ですか?
飲み合わせには注意が必要です。特に鎮痛剤(ロキソニンなど)や高血圧の薬、利尿剤などはリチウムの濃度に影響を与えることがあります。市販薬やサプリメントを含め、新しいものを飲む際は必ず医師・薬剤師に確認してください。
Q4定期的な血液検査では何を調べるのですか?
「薬が効く量」と「中毒になる量」の幅が狭いため、血中リチウム濃度を測って安全性を確認します。あわせて、薬の影響を受けやすい腎機能や甲状腺機能もチェックします。安全に使い続けるために検査は必須です。
Q5飲み忘れたときはどうすればいいですか?
気づいた時に1回分を飲みますが、次の服用時間が近い場合は飛ばしてください。絶対に2回分をまとめて飲まないでください。濃度が急上昇し、中毒症状が出る恐れがあります。
リーマス(成分名:炭酸リチウム)は、双極性障害(躁うつ病)の治療における基本薬であり、気分の波を鎮めて再発を予防する優れた効果を持っています。
リーマス服用の重要ルール
管理が必要な少し手のかかる薬ですが、その分、再発予防効果や自殺予防効果は非常に高く、多くの患者さんの生活を支えています。
「水分をしっかりとる」「体調不良時は早めに相談する」「検査をサボらない」。この3点を守れば、強力な味方になってくれるお薬です。