🤕片頭痛外来|頭痛・吐き気・光・音過敏
閃輝暗点・慢性片頭痛
明るさを避けながら片側のこめかみに手を添える日本人会社員
痛みだけでなく、吐き気、光・音・においへの過敏、仕事や家事への影響を一緒に確認します。

「頭の片側が脈打つように痛む」「動くと悪化して横になりたい」「光や音がつらく、吐き気がする」「生理前後や天候の変化で繰り返す」「頭痛のため仕事や予定を諦めている」。片頭痛は、単なる頭痛ではなく、脳の神経・血管周囲の反応により、痛みと感覚過敏、吐き気、集中困難などがまとまって起こる神経疾患です。

日本の成人では片頭痛の有病率は約8.4%と報告され、日常生活や仕事への支障が大きい一方、医療機関へ相談せず我慢している方も少なくありません。頭痛の強さだけでなく、月に何日あるか、薬を何日使うか、予定をどの程度変更したかを整理すると、治療の必要性と効果が分かりやすくなります。

ズキズキ頭痛
吐気・食欲減
光音・匂い辛
動作で悪化
月経天候悪化
頭痛薬頻用

片頭痛は必ず片側だけに起こるわけではなく、両側性、締めつけるような痛み、肩こりを伴う場合もあります。また、頭痛より先に、あくび、眠気、首のこり、食欲変化、気分の変化が出ることもあります。症状が典型的でないから片頭痛ではない、と自己判断する必要はありません。

一方で、突然の激痛、これまでで最も強い頭痛、新しい麻痺・言葉の出にくさ、発熱と首の硬さ、妊娠・産後の新しい頭痛などは、片頭痛と決めつけず身体の診療を優先します。当外来では診察と頭痛記録をもとに片頭痛の可能性、心理・睡眠・仕事への影響、薬の使い方を整理し、脳神経内科・脳神経外科、救急、婦人科等での評価が適する場合は連携します。

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🤕 1. 片頭痛外来とは
暗めの静かな室内で片頭痛症状のため休む日本人男性
片頭痛では、痛みの最中に光、音、におい、動作が負担になり、横になりたくなることがあります。

片頭痛は、発作を繰り返す一次性頭痛です。発作は典型的には4〜72時間続き、片側性、拍動性、中等度以上、日常的な動作で悪化するという特徴のうち複数を伴います。さらに、吐き気・嘔吐、光過敏、音過敏などがみられます。

「片頭痛」という名称でも、両側が痛む方、脈打たない痛みの方、頭痛の前後に首のこりが目立つ方や、めまいを伴う方がいます。発作と発作の間は比較的元気でも、次の発作への不安や、予定を立てにくい負担が続くことがあります。

片側性や拍動性は重要な手掛かりですが、それだけで診断するものではありません。首のこりやめまいも片頭痛に伴うことがありますが、別の病気でも起こり得ます。診察では、一回の印象ではなく、複数の発作で、始まり方から治まるまでの経過、随伴症状の組み合わせ、発作ごとの差を確認します。薬を使った時刻と、その前後で痛みがどう変わったかも分けて確認すると、発作そのものの経過と服薬後の変化を混同せず整理できます。

同じ方でも、痛み方や随伴症状の程度は発作ごとに変わることがあります。また、以前から片頭痛がある方にも、別の原因による頭痛が新たに重なることがあります。いつもの発作と明らかに違う頭痛は片頭痛と決めつけず、変化した時期、突然か徐々か、発熱や神経症状の有無、薬や生活条件の変化を確認して、必要な評価につなげます。

頭痛日数が少なくても、支障が大きければ相談できます

月に1〜2回でも、毎回仕事を休む、育児ができない、嘔吐する、重要な予定を取りやめる場合は治療の対象です。反対に、頭痛が軽くても月の多くの日に薬を使う場合は、慢性化や薬剤使用過多を確認します。

診察では、片頭痛かどうかだけでなく、緊張型頭痛、群発頭痛、薬剤使用過多による頭痛、睡眠・月経・ストレスとの関係、身体疾患に伴う二次性頭痛を整理します。複数の頭痛が併存することもあるため、すべてを一つの原因で説明しようとしません。

治療の目標は「痛みをゼロにする」だけではありません。発作を早く抑える、頭痛日数と薬の使用日数を減らす、欠勤や予定変更を減らす、次の発作への不安を軽くするなど、本人が取り戻したい生活を具体的に決めます。

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🧠 2. 片頭痛の仕組みと症状
光と音を抑えて休める無人の静かな部屋
光や音がつらい発作時は、無理に活動を続けず、休める環境とその後の予定を整えます。

片頭痛では、三叉神経血管系、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などの神経ペプチド、脳幹・視床・大脳皮質の感覚処理が関与すると考えられています。単に血管が広がるだけの病気ではなく、神経回路の反応が段階的に変化する神経疾患です。痛みだけでなく、光・音・においへの過敏、吐き気、自律神経症状、集中しにくさや気分の変化までが、一つの発作の経過として現れます。

発作では、脳幹や視床下部などの働きが変化し、三叉神経血管系が活性化してCGRPなどが放出され、痛みの情報が視床や大脳皮質へ伝わると考えられています。発作が進むと、普段なら気にならない光・音・におい・皮膚への刺激までつらく感じることがあります。吐き気や胃の動きの低下が重なると、食事が難しくなったり、内服薬の効き始めが遅れたりする場合もあります。

片頭痛発作は、頭痛が始まった時だけを指すとは限りません。数時間から時に1〜2日前の予兆、該当する方に生じる前兆(閃輝暗点など)、頭痛期、痛みが治まった後の回復期へと続くことがあります。予兆と前兆は同じものではなく、前兆がない片頭痛も少なくありません。発作ごとに症状の組み合わせや順序は変わるため、最初の変化から普段の状態へ戻るまでを記録すると、治療薬を使う時機や予防療法の評価に役立ちます。

■痛み片側または両側、拍動性または圧迫感。階段、歩行、前かがみ等で悪化することがあります。
■消化器症状吐き気、嘔吐、食欲低下、胃の動きの低下。内服薬が吸収されにくくなる場合があります。
■感覚過敏光、音、におい、触覚がつらくなり、暗く静かな場所を求めることがあります。
■認知・気分集中困難、考えにくさ、言葉が出にくい感じ、いら立ち、落ち込み等が発作前後にみられます。
■予兆数時間〜数日前から、あくび、眠気、首のこり、食欲変化、むくみ、気分変化等が出ることがあります。
■発作後痛みが治まっても、疲労、ぼんやり感、光過敏、頭皮の違和感が続くことがあります。

肩こりは片頭痛の誘因だけでなく、発作の予兆や随伴症状として起こることがあります。「肩こりから来る頭痛」と決めつけず、頭痛との時間的な関係を記録します。

CGRPは治療標的の一つです

CGRPは片頭痛の痛みの伝達に関わる物質です。CGRPやその受容体を標的とする抗体薬、内服のゲパントが開発され、急性期治療と予防療法の選択肢が広がっています。全員に必要な薬ではなく、発作頻度、従来治療、併存症、希望を合わせて検討します。

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🔍 3. 診断基準と診察のポイント
頭痛診察で眼球運動と上肢の状態を確認する日本人患者と医師
痛む場所だけでなく、持続時間、動作での悪化、吐き気、光・音過敏、発作間の状態を確認します。

国際頭痛分類ICHD-3では、前兆のない片頭痛は、原則として5回以上の発作があり、治療しなければ4〜72時間続くこと、痛みの特徴と随伴症状を組み合わせて診断します

① 発作回数
同様の発作が原則5回以上ある。

② 持続時間
未治療または治療が無効なら4〜72時間続く。

③ 痛みの特徴
片側性、拍動性、中等度〜重度、日常動作で悪化のうち2つ以上。

④ 随伴症状
吐き気・嘔吐、または光過敏と音過敏がある。

⑤ 他疾患との区別
別の頭痛疾患や身体疾患でよりよく説明されない。

⑥ 生活への影響
横になりたい、仕事や家事を中断する等の機能障害を確認。

診断基準は医師が情報を整理するための道具です。すべての症状が毎回そろわない場合、治療で短くなっている場合、鎮痛薬を早く使って経過が分からない場合もあります。頭痛日記と複数回の経過から診断が明確になることもあります

小児・思春期では発作が2〜72時間と短い場合や、両側性の痛みも多くみられます。年齢、発達段階、学校生活への影響を含めて評価します。

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✨ 4. 前兆のない・ある片頭痛

■前兆のない片頭痛
最も多い病型です。視覚症状等の明確な前兆を伴わず、頭痛、吐き気、光・音過敏等が起こります。予兆や首のこりはあっても、医学的な「前兆」とは分けます。

■前兆のある片頭痛
頭痛の前または発作中に、可逆的な視覚、感覚、言語等の神経症状が徐々に進展し、典型的には5〜60分続きます。前兆後に頭痛がない場合もあります。

■視覚性前兆
視覚性前兆の代表が「閃輝暗点」で、ギザギザした光やきらめきが現れ、見えにくい部分を伴いながら徐々に広がります。片目だけの視力低下、突然の暗転、長時間持続する症状は別の原因を確認します

■感覚・言語性前兆
手や顔のしびれが徐々に移動する、言葉が出にくい等があります。初めての症状、急に完成する麻痺、意識変化は脳卒中等との区別を優先します。

「閃輝暗点がある=必ず片頭痛」とは限りません

症状が片目だけか両眼の視野か、突然か徐々に広がるか、何分続くか、麻痺や意識変化がないかを確認します。眼科・脳神経領域の評価が必要な場合があります。

前兆のある片頭痛では、喫煙、エストロゲンを含む避妊薬、血管リスク等を合わせて確認します。避妊・月経治療については、処方医・婦人科と連携して安全性を判断します。

前兆らしい症状を時間経過と現れ方で分ける

前兆のない発作、徐々に進む神経症状、急な新規症状を三領域で示します。

前兆のない発作

頭痛、吐き気、光・音過敏などを確認します。

前兆を考える症状

視覚・感覚・言語症状がどう広がるかを確認します。

別の原因を確認

突然の暗転、麻痺、意識変化などは早く評価します。

初めての症状、急な麻痺や意識変化などは、片頭痛と決めず身体評価を優先します。

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🚑 5. 危険サインと受診の目安
突然の激しい頭痛で上肢と血圧の緊急評価を受ける日本人患者
突然の激痛や新しい神経症状は、いつもの片頭痛と決めつけず救急で原因を確認します。

片頭痛がある方にも、別の病気による頭痛が起こることがあります。次の症状では通常の予約を待たず、救急医療機関、脳神経内科・脳神経外科等での評価を優先してください

■突然始まり、1分以内に最強になる頭痛
くも膜下出血等を除外する必要があります。

■新しい麻痺・ろれつ困難・意識変化・けいれん
脳卒中、てんかん、感染症等との区別が必要です。

■発熱、首の硬さ、発疹、強い全身症状
髄膜炎等の感染症を考えます。

■妊娠中・産後の新しい強い頭痛
高血圧関連疾患、脳静脈血栓症等を確認します。

■頭部外傷後、運動・咳・性行為で突然起こる頭痛
出血や血管疾患等の評価が必要です。

■50歳以降に初めて始まる、進行する、性質が変わる頭痛
炎症、腫瘍、血管疾患等を含めて確認します。

■がん、免疫低下、抗凝固薬使用中の新しい頭痛
基礎疾患と薬の影響を踏まえて早めに評価します。

救急性が乏しくても、頭痛が月4日以上ある、生活に支障がある、急性期薬が効かない・副作用が強い、薬を月10〜15日以上使う、以前と発作の様子が変わった場合は診察をご検討ください。

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📊 6. 反復性片頭痛と慢性片頭痛
頭痛がある日と薬の使用を整理する空欄の月間カレンダー
頭痛がある日だけでなく、薬を使った日と生活への影響を一緒に記録して治療を見直します。

頭痛日数により、治療の重点が変わります。国際頭痛分類では、慢性片頭痛は3か月を超えて月15日以上の頭痛があり、そのうち月8日以上に片頭痛の特徴がある、または片頭痛特異的薬が有効な状態を目安に診断します。

■反復性片頭痛頭痛日数が月15日未満です。発作回数が少なくても、毎回の支障が大きい場合は予防療法を検討します。
■高頻度反復性片頭痛月8〜14日程度の頭痛が続く状態は、慢性化のリスクが高く、薬の使用日数と生活への影響を丁寧に確認します。
■慢性片頭痛月15日以上の頭痛が続き、片頭痛らしくない軽い日も混在します。頭痛のない日を数える視点も役立ちます。
■寛解と再増悪治療や環境変化で日数が減っても、睡眠、月経、薬剤使用過多、ストレス等で再び増えることがあります。

慢性化には、発作頻度、急性期薬の使用過多、肥満、睡眠障害、不安・抑うつ、強いストレス等が関連します。本人の努力不足ではなく、複数の要因を一つずつ調整します。

治療効果は「頭痛日数」と「生活機能」で確認します

月間頭痛日数、片頭痛日数、中等度以上の日数、急性期薬使用日数、欠勤・能率低下を基準にします。日数が半減しなくても、発作が短くなり予定を守れるようになることは重要な改善です

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🗓️ 7. 頭痛日記・HIT-6・MIDAS
色点と生活記録で頭痛日を記録する日本人男性
頭痛の有無だけでなく、強さ、随伴症状、薬を使った時刻と効果、生活への影響を短く記録します。

頭痛日記は、原因探しのためだけではありません。診断、急性期薬の効果、予防薬の評価、薬剤使用過多の確認を同じ記録で行えます。毎日長文を書く必要はなく、1日1行や記号でも十分です。診察前に記憶だけで振り返ると、頭痛のない日、軽い日、薬が効いた日まで正確には思い出しにくいことがあります。数週間〜数か月を同じ形式で並べると、頭痛日数・服薬日数・生活への影響を共通の基準で比較できます。

頭痛日記は、自分を採点する表ではなく、診察で経過を共有するための道具です。急性期薬を使った日は、服用した時刻と、どの程度いつもの生活へ戻れたかを残すと、薬の種類だけでなく、使うタイミングや効き方を診察で見直す手掛かりになります。予防薬を始めた後は、頭痛日数だけでなく、発作の長さ、強さ、休んだ日、急性期薬を使った日がどう変わったかをまとまった期間で比べます。頭痛がゼロにならなくても、発作が短くなった、予定を守れたことは大切な変化です。記録が抜けた日は無理に埋めず、次の日から再開できます。完璧な記録より、診察で一緒に振り返れる記録を続けることが大切です。

① 頭痛の有無と強さ
軽い・中等度・強い、仕事や家事を続けられたか。

② 片頭痛らしい症状
吐き気、光・音過敏、動作での悪化、前兆。

③ 薬の使用
薬名、時刻、追加服用、何時間で改善したか。

④ 月経・睡眠・勤務
月経日、睡眠時間、夜勤、休日、欠勤・早退。

⑤ 誘因候補
空腹、脱水、飲酒、暑さ、気圧変化等を必要な範囲で。

⑥ 発作間の状態
頭痛のない日、次の発作への不安、活動制限。

HIT-6は過去4週間の頭痛による支障、MIDASは過去3か月の仕事・家事・余暇への影響を整理する質問票です。診断そのものではなく、治療前後を比べる補助として使います。

支障度を比べる数値の目安

HIT-6は36〜49点が影響ほぼなし、50〜55点がある程度、56〜59点が大きい、60点以上が極めて大きい影響の目安です。MIDASは0〜5点がGrade I、6〜10点がII、11〜20点がIII、21点以上がIVです。点数だけで診断や治療を決めず、本人が困っている場面と合わせて使います。

記録を細かくしすぎて不安や負担が増える場合は、頭痛日数、薬の使用日数、休んだ日だけに絞ります。スマートフォンのアプリでも紙でも、続けやすい方法を選びます。

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🌡️ 8. 誘因・予兆・生活との関係

片頭痛には一人ひとり異なる誘因がありますが、毎回同じ原因で起こるとは限りません。複数の負担が重なり、発作の閾値を超えるイメージで考えると整理しやすくなります。

■睡眠の変化
睡眠不足だけでなく、休日の寝だめ、夜更かし、交代勤務、時差も関連します。

■月経とホルモン変化
月経開始前2日から開始後3日頃は、発作が長く強くなる方がいます。

■空腹・脱水・飲酒
朝食抜き、長時間の会議、暑い環境、飲酒の翌日等で起こることがあります。

■光・におい・画面・騒音
誘因になる場合と、発作の予兆として刺激がつらく感じられる場合があります。

■ストレスと解放
忙しい最中だけでなく、週末や仕事が終わった後に発作が出ることもあります。

■天候・気圧・暑さ
低気圧、急な気温差、高温多湿等との関連を感じる方がいますが、天気だけで全発作を説明しません。

すべての誘因を避ける必要はありません

食事、外出、運動、仕事、人付き合いを過度に制限すると生活が狭くなります。繰り返し関連する要因を2〜3個に絞り、発作予防と生活の自由のバランスを取ります

カフェインは少量で急性期治療を助ける場合がある一方、毎日多量に摂取したり急に中止したりすると頭痛に関係します。コーヒーだけでなく、エナジードリンク、茶、鎮痛薬との重複を確認します。

複数の負担を記録し、避けすぎを防ぐ

生活の変化を観察し、繰り返す関連を記録し、調整する流れです。

① 生活の変化

睡眠・食事・水分

月経・仕事・天候

② 発作との関係

予兆か誘因か

重なった負担を記録

③ 調整する

繰り返す要因を絞る

生活を狭めすぎない

すべてを避けるのではなく、繰り返し関連する要因と生活の自由のバランスを取ります。

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🩺 9. 初診で確認すること・検査

片頭痛は問診と診察を中心に診断します。脳画像や血液検査だけで片頭痛を確定することはできません。一方、危険サインや非典型的な経過がある場合は、身体疾患を除外する検査を優先します。

① 頭痛の始まりと経過
何歳頃から、突然か徐々に、頻度と性質の変化。

② 発作の特徴
場所、持続時間、強さ、動作、吐き気、光・音過敏、前兆。

③ 薬と使用日数
処方薬、他院の薬、カフェイン、月に何日使うか。

④ 身体・家族歴
高血圧、血管疾患、てんかん、妊娠、家族の片頭痛等。

⑤ 睡眠とこころ
不眠、いびき、日中眠気、不安、抑うつ、仕事の負担。

⑥ 神経学的診察
意識、視野、眼球運動、筋力、感覚、反射、歩行等。

MRI・CTは全員に必要ではありません。突然の頭痛、神経症状、発熱、がん・免疫低下、50歳以降の新規頭痛、進行性の変化等がある場合は、脳神経領域の医療機関で画像検査等を検討します。

採血は、貧血、甲状腺疾患、炎症、妊娠関連、薬を安全に使用するための肝腎機能等を、症状と治療内容に応じて行います。眼痛・視力変化では眼科、鼻症状では耳鼻咽喉科、月経・妊娠では婦人科との連携が役立つことがあります。

持参すると役立つもの

頭痛日記、使用中の薬が分かるお薬手帳、過去のMRI・CTや健診結果、月経記録、以前の治療で効いた薬・副作用が出た薬の情報をご持参ください。すべてそろっていなくても診察は始められます

問診と診察から必要な検査を選ぶ

頭痛の経過と特徴を確認し、診察と危険サインから検査や連携を選ぶ流れです。

① 頭痛の経過

始まり・頻度・変化

持続・随伴症状

② 診察と背景

薬の使用日

身体歴・睡眠・こころ

③ 必要な評価

神経学的診察

検査・他科連携を選ぶ

MRI・CTは全員に行うのではなく、危険サインや非典型的な経過に応じて検討します。

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🧭 10. 治療の全体像
片頭痛の急性期治療と予防治療を医師へ相談する日本人患者
発作が起きた日の手順と、発作を減らす予防療法を分けて計画します。

片頭痛治療は、発作をなるべく早く鎮める急性期治療と、発作日数・重症度・生活への支障を減らす予防療法を組み合わせます。急性期治療では、痛みだけでなく吐き気や光・音過敏を和らげ、仕事・家事・学業などへ戻りやすくすることも目標です。予防療法は発作を完全になくすことだけを目指すのではなく、起こりにくくする、軽くする、急性期薬を効きやすくするという役割があります。生活調整だけ、薬だけに偏らず、本人の発作パターンと希望に合わせて計画します。

治療方針を決めるときは、頭痛の回数だけでなく、痛みが強くなる速さ、吐き気で内服しにくいか、発作後に仕事・家事へ戻るまでの時間、いったん軽くなった後の再発、眠気などの副作用も確認します。「痛みが何点下がったか」と「予定していた行動に戻れたか」を分けて記録すると、本人が重視する治療目標を共有しやすくなります。頭痛の持続時間、追加の薬が必要だったか、予定の変更や欠勤が減ったかも、治療が生活に役立っているかを判断する手掛かりです。

次の受診までは、急性期薬を使った時刻、効き始めた時刻、追加使用の有無、再び痛みが強くなったか、困った副作用を頭痛日記に短く残します。薬の錠数だけでなく急性期薬を使った日数も数えると、使用が増えていないかを確認できます。生活リズム、妊娠・授乳の予定、持病や併用薬、勤務形態が変わったときは、同じ計画を続ける前に処方医へ共有します。自己判断で量や回数を増減せず、記録をもとに薬の種類・剤形・使う時機や予防療法の選択肢を見直します。

■急性期治療
発作の早い段階で、鎮痛薬、トリプタン、ラスミジタン、リメゲパント、制吐薬等から適した薬を使います。

■予防療法
従来の内服予防薬、CGRP関連抗体薬、アトゲパント、リメゲパント等を検討します。

■非薬物療法
規則的な睡眠・食事・水分、適度な運動、リラクセーション、頭痛日記、誘因の現実的な調整を行います。

■併存症への治療
不眠、不安、抑うつ、月経関連症状、睡眠時無呼吸、肥満、頸部痛等を一緒に整えます。

予防療法は、発作が月に複数回ある場合だけでなく、頻度が少なくても発作が長い、急性期薬が使いにくい、前兆や嘔吐が強い、仕事・育児・学業への支障が大きい場合に検討します。

治療の評価は通常、少なくとも数週間〜3か月程度の頭痛日記をもとに行います。効果が不十分でも、診断、服用時刻、量、使用日数、治療期間、併存症を確認してから変更します。

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🏠 11. 発作時の対処と非薬物療法

発作時は、可能であれば暗く静かな場所へ移り、運転・高所作業・危険作業を中止します。水分を少量ずつ取り、本人に合う場合は額や首を冷やします。嘔吐が強く水分・薬を保てない場合は医療機関へ相談します。

① 早めに気づく
痛みだけでなく、あくび、首のこり、光過敏等のいつもの予兆を知る。

② 決めた薬を使う
医師と決めた時点・量・追加方法を守り、効かなかった日も記録する。

③ 刺激を減らす
光、音、におい、画面、激しい動作を可能な範囲で避ける。

④ 安全を確保する
閃輝暗点などの前兆、めまい、眠気がある時は運転や危険作業を行わない

⑤ 長引く時の手順
追加薬、受診の目安、休日・夜間の相談先を事前に決める。

⑥ 発作後を整える
睡眠を大きく崩さず、食事と水分を戻し、翌日の負荷を調整する。

予防の基本は、起床・就寝、食事、水分、適度な有酸素運動を極端に変動させないことです。完璧な生活管理を目指すと負担になるため、まずは朝食を抜かない、休日の起床差を小さくする、水分を持ち歩く等から始めます。

我慢して限界まで働くより、早い段階で調整します

発作初期に短時間休む、照明・席・オンライン会議を調整する、急性期薬を使える環境を作る方が、結果として早く復帰できることがあります。必要に応じて職場や学校への医学的配慮を整理します。

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💊 12. 急性期治療薬
発作時薬を使う判断の流れ

いつもの片頭痛か安全を確認し、処方時に決めた方法と使用上限に沿って対応します。

① 危険サインを確認

突然の激痛ではないか

神経症状・発熱・意識変化

妊娠や基礎疾患も確認

② 急性期治療

静かな場所で休む

処方された薬を適切な時機に

用法・併用禁忌を守る

③ 効果と日数を記録

改善までの時間

追加服用の有無

月の使用日数を共有

いつもと違う頭痛や危険サインがある時は、片頭痛薬で様子を見ず緊急性を評価します。

急性期薬は、発作が始まってから痛みが軽度のうちに使うと効果が得られやすい一方、前兆だけの時点で使うべきかは薬により異なります。処方時に使用のタイミングと追加服用の条件を確認します

薬は「強いものを選ぶ」のではなく、発作がどの速さで強くなるか、吐き気で内服できるか、何時間続くか、いったん改善して再発するかに合わせて選びます。発作の立ち上がりが速い、早期に嘔吐する、錠剤を飲めない場合は、剤形や制吐薬を含めて計画を作ります。

受診時には、使用した薬の名前だけでなく、飲んだ時刻、服用前の痛み、2時間後の変化、24時間以内の再発、眠気・めまい等を記録しておくと調整しやすくなります。効かない時の追加方法と、追加せず受診する条件も事前に確認します。

発作ごとに痛み方や吐き気が違う時は、薬が効いた・効かなかっただけで結論を出さず、使った時点の痛みとその後の予定も並べて振り返ります。次の発作でどの手順を再現し、どの条件なら早めに相談するかを決めておくと、強い頭痛の最中にも迷いを減らせます。

① 発作の速さ
ゆっくり強まるか、短時間で動けなくなるか。

② 吐き気・嘔吐
内服できるか、吸収が不十分になりやすいか。

③ 持続と再発
何時間続くか、同じ日に痛みが戻るか。

④ 安全な予定
運転、危険作業、妊娠・授乳、持病、併用薬。

薬価・薬剤費の目安(2026年8月13日現在)

各表には、厚生労働省の薬価基準に基づく代表規格の公定薬価を掲載しています。薬価は薬剤そのものの価格で、窓口で支払う金額とは異なります。

鎮痛薬・制吐薬
分類・主な成分名主な商品名・位置づけ主な確認点薬価(代表規格)
アセトアミノフェンカロナール等
軽度〜中等度発作で検討
肝疾患、飲酒、他薬との成分重複、総使用量500mg:11.20円/錠
ロキソプロフェンロキソニン等
症状や併存症を確認して使用を検討
胃腸障害、腎機能、喘息、妊娠時期、脱水60mg:10.80円/錠
イブプロフェン・ナプロキセン等ブルフェン・ナイキサン等
成分ごとの国内適応を確認して検討
NSAIDsの重複、胃腸・腎・心血管リスクブルフェン200mg:6.30円/錠
ナイキサン100mg:6.30円/錠
メトクロプラミドプリンペラン等
吐き気が強い時に補助的に検討
眠気、錐体外路症状、併用薬5mg:10.80円/錠
ドンペリドンナウゼリン等
吐き気が強い時に補助的に検討
心電図、QT延長、併用薬、持病10mg:7.80円/錠

同じ成分や同じNSAIDsを重ねて使わないよう、お薬手帳と使用日数を確認します。痛み止めが効かない時に回数だけ増やすのではなく、片頭痛特異的薬への変更、制吐薬の併用、剤形、予防療法を見直します。

急性期薬の目標は、服用後2時間程度で痛みと随伴症状が改善し、日常動作へ戻れること、24時間以内の再発が少ないことです。効果判定は1回だけでなく、複数回の発作で確認します。

トリプタン・ラスミジタン・急性期に用いるゲパント

片頭痛特異的な急性期薬には、トリプタン、5-HT1F受容体作動薬ラスミジタン、CGRP受容体拮抗薬リメゲパントがあります。効果、再発、眠気、血管リスク、併用薬、妊娠・授乳、運転予定から選びます。

トリプタン製剤の成分名と主な商品名
成分名主な商品名・剤形診察で確認すること薬価(代表規格)
スマトリプタンイミグラン
錠・点鼻・注射等
発作の速さ、吐き気、心血管疾患、併用薬50mg
先発品:211.80円/錠
後発品:84.60円〜/錠
ゾルミトリプタンゾーミッグ
錠・口腔内速溶錠
再発、眠気・めまい、血管リスク錠・RM錠2.5mg
先発品:266.40円/錠
後発品:102.10円〜/錠
エレトリプタンレルパックス
CYP3A4阻害薬等との相互作用20mg
先発品:261.70円/錠
後発品:102.50円〜/錠
リザトリプタンマクサルト
錠・口腔内崩壊錠
プロプラノロールとの併用禁忌等錠・RPD錠10mg
先発品:177.60円/錠
後発品:54.50円〜/錠
ナラトリプタンアマージ
長い発作・再発、腎・肝機能、血管リスク2.5mg
先発品:202.70円/錠
後発品:153.30円/錠
その他の片頭痛特異的急性期薬
成分名主な商品名・位置づけ主な注意点薬価(代表規格)
ラスミジタンレイボー錠50mg・100mg
5-HT1F受容体作動薬
めまい・眠気等。服用後は運転・危険作業を行わない50mg:324.70円/錠
100mg:570.90円/錠
リメゲパントナルティークOD錠75mg
急性期治療と発症抑制の両方に承認
1日総量75mgを超えない。相互作用、肝腎機能、過敏症75mg:2,923.20円/錠
エルゴタミン配合剤クリアミン配合錠A1.0・S0.5
従来からある急性期薬。
使用機会は限定的。妊娠・授乳、心血管・末梢血管疾患、肝腎機能、CYP3A4阻害薬。トリプタンとは前後24時間以上あけるA1.0:12.90円/錠
S0.5:9.30円/錠

エルゴタミン配合薬は、トリプタン登場後は使用機会が限られています。血管収縮作用と相互作用があり、妊娠・授乳中、特定の血管・心臓疾患、コントロール不十分な高血圧、肝・腎機能障害等では使えません。トリプタンとは併用できず、前後24時間以上あける必要があります。一部の抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬等とも併用できません。月10日以上の使用が3か月を超えると薬剤使用過多の目安となり、頭痛が月15日以上ある場合は薬剤の使用過多による頭痛を疑います。

トリプタンは冠動脈疾患、脳血管障害、末梢血管障害、コントロール不良の高血圧等では使用できない場合があります。胸部症状が出た時は自己判断で継続せず相談します。薬ごとに併用禁忌・間隔があるため、他の片頭痛薬も含めて確認します。

ラスミジタンは血管収縮作用を主目的としない選択肢ですが、眠気やめまいが起こり得ます。リメゲパントも全員に適するわけではなく、急性期と予防で使い方が異なります。処方時の指示に沿って使用します。

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🛡️ 13. 予防薬
予防治療を選び、評価する三つの視点

頭痛日数だけでなく生活への支障、併存症、安全性を合わせて選びます。

① 導入を検討

発作頻度、急性期薬の効果、欠勤・家事・睡眠への影響を頭痛日記で確認します。

② 個別に選択

年齢、妊娠可能性、血圧、気分、睡眠、体重、他の薬を踏まえて治療を選びます。

③ 継続・変更を判断

十分な期間の頭痛日数、重症度、副作用を比較し、継続・変更・減量を相談します。

効果や副作用には個人差があります。自己判断で急に中止せず、再評価日を決めて調整します。

予防薬は、頭痛日数、発作の強さ・長さ、急性期薬の効果、薬剤使用過多、妊娠希望、持病、眠気や体重への希望等を踏まえて選びます。少量から開始し、効果と副作用を頭痛日記で比較します

月に数回でも毎回仕事や家事を休む、急性期薬が十分効かない、薬を使えない持病がある場合は予防療法を検討します。反対に頭痛が軽くても、急性期薬を使う日が増えている場合は、慢性化と薬剤使用過多を防ぐため早めに治療を見直します。

薬ごとに、血圧・脈拍、喘息、体重、眠気、不眠、便秘、気分、妊娠希望等への影響が異なります。片頭痛だけでなく、併存する症状も含めて一つの治療計画にまとめ、頭痛日数、急性期薬使用日数、欠勤・予定変更、副作用を定期的に比較します。

開始前に、何を改善したいかと避けたい副作用を決めます。頭痛日数だけでなく、横になる時間、欠勤や予定変更、急性期薬を使う日を同じ方法で記録し、生活への影響と続けやすさを一緒に評価します。

予防療法の研究では、月間片頭痛日数が治療前から50%以上減少することを反応の一般的な目安とし、慢性片頭痛では30%の減少も臨床的に意味のある改善として扱われます。ただし、日数が減っても生活支障が残ることがあるため、急性期薬を使う日、横になる時間、欠勤、本人の実感も合わせて継続・変更を判断します。

① 必要性
発作日数だけでなく、生活支障と急性期薬使用日数を確認。

② 持病との相性
喘息、血圧、心疾患、腎・肝機能、こころの症状。

③ ライフステージ
妊娠希望、妊娠・授乳、月経、更年期を確認。

④ 継続評価
十分な期間を確保し、効果と副作用を同じ指標で比較。

成分名主な商品名・位置づけ主な確認点薬価(代表規格)
ロメリジンミグシス
片頭痛発作の発症抑制
眠気、めまい、動悸、併用薬5mg:12.00円/錠
プロプラノロールインデラル
片頭痛発作の発症抑制
喘息、徐脈、低血圧、心疾患、妊娠10mg:10.80円/錠
バルプロ酸デパケン・セレニカ等
片頭痛発作の発症抑制
妊娠・妊娠可能性、肝機能、血算、体重、相互作用デパケン200mg:10.80円/錠
アミトリプチリントリプタノール
ガイドライン等を参考に使用を検討
眠気、口渇、便秘、心電図、緑内障、排尿10mg:10.80円/錠
カンデサルタンブロプレス等
ガイドライン等を参考に使用を検討
血圧、腎機能、カリウム、妊娠8mg
先発品:27.00円/錠
後発品:10.80円〜/錠
トピラマートトピナ等
ガイドライン等を参考に使用を検討
認知症状、体重、腎結石、眼症状、妊娠25mg
先発品:16.50円/錠
後発品:8.60円/錠

アミトリプチリン、カンデサルタン、トピラマートは、ガイドライン等を参考に、治療歴・持病・併用薬を確認して個別に検討します。

バルプロ酸は、妊娠中または妊娠可能性がある女性の片頭痛予防には禁忌です。胎児の先天異常・神経発達への重大なリスクがあるため、妊娠希望を含めて必ず確認します。すでに服用中で妊娠が分かった場合も、自己判断で急に中止せず速やかに処方医へ連絡します

効果は通常、十分な量と期間を確保して評価します。改善後も一定期間継続し、安定したら再発リスクと希望を確認して減量を検討します。

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🧬 14. CGRP関連予防薬

CGRP関連薬は、すべてが同じ使い方ではありません。エムガルティ、アジョビ、アイモビーグは片頭痛発作の発症を抑える注射の予防薬です。内服のゲパントでは、アクイプタは予防に用い、ナルティークは急性期治療と予防の両方に用います。目的によって服用方法が異なります。日本頭痛学会のポジションステートメントでは、成人の片頭痛予防における第一選択肢の一つとして検討できるとされています。頭痛日数、生活への支障、併存症、安全性、本人の希望を踏まえて選択します。
当院では、以下に掲載する【注射】の予防薬(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)の投与は行っていません。

成分名主な商品名・役割主な確認点薬価(代表規格)
ガルカネズマブエムガルティ皮下注
抗CGRP抗体・発症抑制
初回負荷、注射部位反応、過敏症、継続評価42,284円〜/本
初回2本
以降1か月ごとに1本
フレマネズマブアジョビ皮下注
抗CGRP抗体・発症抑制
投与間隔、注射部位反応、過敏症38,856円〜/本
4週間ごとに1本
または12週間ごとに3本(同日)
エレヌマブアイモビーグ皮下注
抗CGRP受容体抗体・発症抑制
便秘、血圧、過敏症、継続評価38,842円/本
4週間ごとに1本
アトゲパントアクイプタ錠10mg・30mg・60mg
経口CGRP受容体拮抗薬・発症抑制(予防専用)
通常成人60mgを1日1回。10mg・30mgは腎機能や併用薬等に応じて調整。急性発作を止める薬ではない10mg:339.90円/錠
30mg:831.30円/錠
60mg:1,461.60円/錠
リメゲパントナルティークOD錠75mg
急性期と発症抑制
予防では隔日投与。1日総量75mg以下、相互作用75mg:2,923.20円/錠

薬価について:掲載額は2026年8月13日適用の公定薬価です。実際の窓口負担は、自己負担割合、処方日数・本数、診察料、処方箋料、調剤料、注射の実施・管理料等により異なります。薬価改定、剤形、後発医薬品により価格が変わるため、最新額は医療機関・薬局でご確認ください。

アクイプタ(アトゲパント)の特徴

アクイプタ錠10mg・30mg・60mg(一般名:アトゲパント)は、2026年4月17日に国内発売された、1日1回服用する経口CGRP受容体拮抗薬です。2026年8月時点の国内承認は「片頭痛発作の発症抑制」で、起きている発作を止める急性期薬ではありません。通常、成人はアトゲパントとして60mgを1日1回服用し、重度の腎機能障害や特定の併用薬がある場合は10mgまたは30mgへ調整します。

開始後おおむね3か月で有益性を評価します。過敏症、吐き気、便秘、食欲低下、眠気、体重減少、肝機能検査値の上昇等に注意し、顔や喉の腫れ、息苦しさ、じんましん等が出た場合は速やかに医療機関へ連絡します。肝・腎機能障害、妊娠・授乳、処方薬・市販薬・サプリメントを含む併用薬は、開始前に医師へ伝えてください。

抗体薬・ゲパントは、頭痛日数、急性期薬使用日数、生活への支障を記録し、治療開始後おおむね3か月を目安に有益性を評価します。十分な改善後も定期的に継続の必要性を見直します。治療選択では、直近の片頭痛日数、生活支障、従来予防薬の効果・副作用・禁忌等を確認します。

新しい薬でも、診断と記録が出発点です

高価な薬、新しい薬を先に決めるのではなく、片頭痛日数、従来治療、薬剤使用過多、妊娠・授乳、持病、本人が重視する生活機能を確認して選択します。

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🔄 15. 薬剤使用過多による頭痛
薬剤使用過多による頭痛を防ぐ確認サイクル

薬の種類だけでなく、月に何日使ったかと頭痛日数を別々に記録します。

① 頭痛日が増える

発作が頻回になる

仕事や生活の支障

予期不安が強まる

② 急性期薬の日数が増える

追加服用が増える

複数薬を使う

使用日数が把握しにくい

③ 計画を見直す

頭痛日記で日数確認

予防治療を検討

減薬方法を医師と共有

急な自己中止が適さない場合もあります。使用薬と日数を伝え、安全な調整計画を立てます。

急性期薬を頻繁に使う状態が3か月を超えて続くと、頭痛が月15日以上へ増え、薬剤使用過多による頭痛が重なることがあります。薬に頼った本人の責任ではなく、発作が十分に抑えられず、使用日数が増えた結果として起こる治療上の問題です。

① トリプタン
月10日以上の使用が3か月を超える場合に注意。

② 複合鎮痛薬
複数成分を含む薬を月10日以上使用する場合に注意。

③ オピオイド・エルゴタミン
月10日以上の使用で注意し、依存・離脱も評価。

④ 単一成分鎮痛薬・NSAIDs
月15日以上の使用が3か月を超える場合に注意。

複数種類を交互に使っても、合計使用日数が多ければ問題になります。カフェインを含む薬、他科で処方された薬、月経痛等で使用する鎮痛薬も含め、同じ成分や同じ分類の重複と使用日数を合わせて記録します。

治療では、原因薬の中止・減量、離脱期の対応、適切な急性期薬への変更、予防療法の導入を組み合わせます。急に中止することが危険な薬もあるため、自己判断ではなく医師と計画します。

頭痛薬を一切使わない治療ではありません

必要な発作には適切な急性期薬を使いながら、使用日数が増えない発作コントロールを目指します。月ごとの使用日数と「効かなかったため追加した回数」を確認します。

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🌸 16. 月経・妊娠・授乳・更年期

月経関連片頭痛は、月経開始前2日から開始後3日頃に発作が起こりやすい状態です。月経時の発作は長く強く、再発しやすいことがあります。少なくとも3周期程度、月経日と頭痛日を一緒に記録すると関係が分かりやすくなります。

■月経期の急性期治療
発作が長いことを考慮し、薬の種類、使用時刻、再発時の手順、吐き気対策を決めます。

■短期予防
月経周期が予測可能な場合、月経前後に限った薬物療法が検討されることがあります。

■妊娠前
妊娠希望を早めに伝え、予防薬・急性期薬の必要性と安全性を見直します。

■妊娠・授乳
妊娠週数、授乳状況、発作の重症度に応じて、非薬物療法を含む安全な選択肢を検討します。

■更年期
月経周期の変化、ほてり、睡眠障害、気分症状、血圧等と頭痛の経過を合わせて確認します。

バルプロ酸は妊娠中または妊娠可能性がある女性の片頭痛予防に禁忌で、カンデサルタン、トピラマート等にも妊娠に関する重要な注意があります。CGRP関連薬も妊娠・授乳中の情報が限られます。妊娠が判明しても自己判断で薬を中止せず、処方医へ速やかに連絡してください

前兆のある片頭痛では、喫煙やエストロゲンを含む避妊薬により脳梗塞リスクが高まる可能性を考慮します。婦人科と連携し、避妊・月経治療の目的と代替法を相談します。

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💼 17. 睡眠・こころ・仕事との関係

片頭痛は、不眠、過眠、睡眠時無呼吸、むずむず脚、うつ病、不安症、パニック症等と併存することがあります。頭痛のため眠れないのか、睡眠の乱れが発作を増やすのか、気分症状が発作間にも続くのかを分けて確認します。

■予期不安「また発作が来たら」と外出、旅行、会議、育児を避け、生活範囲が狭くなることがあります。
■抑うつ・不安痛みの慢性化と相互に影響します。気分だけでなく興味、睡眠、食欲、安全を確認します。
■仕事への影響欠勤だけでなく、出勤していても能率が下がるプレゼンティーズムが大きな負担になります。
■職場・学校の調整照明、画面、休憩、水分、服薬場所、時差勤務、在宅勤務等を具体的に検討します。

片頭痛の治療に抗うつ薬が使われる場合がありますが、頭痛予防の目的、うつ・不安の治療目的、両方を期待する場合を区別します。アミトリプチリンは、ガイドライン等を参考に、頭痛の頻度や併存症を確認して使用を検討します。眠気、口渇、便秘等を確認します。

ストレスは発作に関連しますが、「ストレス性だから検査不要」「気持ちを強くすれば治る」という意味ではありません。危険サインを確認した上で、発作治療とストレス対処、睡眠、勤務調整を並行します。

診断書・職場への配慮

医学的に必要な場合は、通院、発作時の短時間休憩、照明・騒音、夜勤・長時間労働、運転・危険作業等について診断書を検討します。具体的な就業措置は、本人、事業者、産業医等と役割を分けて調整します

頭痛による絶望感や「消えてしまいたい」という考えがある場合は、次回予約を待たずご相談ください。安全を保てない場合は、救急評価や入院を含む治療環境を検討します。

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❓ 18. よくある質問
Q. 片頭痛は片側がズキズキしないと診断できませんか?

いいえ。両側性や圧迫感に近い痛みもあります。持続時間、動作での悪化、吐き気、光・音過敏、発作を繰り返す経過を組み合わせて診断します。

Q. MRIが正常なら片頭痛ではありませんか?

MRIで片頭痛そのものを確定することはできません。片頭痛は問診と神経学的診察を中心に診断します。MRI・CTは、危険サインや非典型的な経過がある時に別の原因を調べるために行います。

Q. 頭痛が月に数回でも予防薬を使えますか?

発作が長い、嘔吐が強い、急性期薬を使えない、仕事・育児・学業への支障が大きい場合は、回数が少なくても予防療法を検討します。頭痛日数だけでなく生活への影響を確認します。

Q. トリプタンが効かないと片頭痛ではありませんか?

それだけでは決まりません。服用時刻、量、剤形、吐き気による吸収低下、薬の種類、発作ごとの差を確認します。別のトリプタン、ラスミジタン、リメゲパント等を検討できる場合があります。

Q. ナルティークとアクイプタは同じ薬ですか?

どちらもCGRP受容体拮抗薬ですが、成分と承認された使い方が異なります。ナルティーク(リメゲパント)は急性期治療と発症抑制、アクイプタ(アトゲパント)は発症抑制に用います。併用や切替は医師が判断します。

Q. CGRP抗体薬は最終手段ですか?

必ずしも最終手段ではありません。日本頭痛学会は成人の片頭痛予防で第一選択肢の一つになり得るとしています。発作頻度、従来薬、併存症、注射への希望、費用等を合わせて検討します。

Q. 頭痛薬は月に何日までなら安全ですか?

薬の種類で目安が異なります。トリプタン・複合鎮痛薬等は月10日以上、単一成分鎮痛薬・NSAIDsは月15日以上の使用が3か月を超えると薬剤使用過多を考えます。複数薬の合計使用日数も記録し、実用上は急性期薬を週2日以内に抑えられる治療を目指します。

Q. 天気予報に合わせて薬を飲んでもよいですか?

天候だけで毎回予防的に急性期薬を使うと、使用日数が増えるおそれがあります。頭痛日記で再現性を確認し、予兆時の対応、月経期の短期予防、通常の予防療法を分けて相談します。

Q. 妊娠を希望しています。薬は全部やめるべきですか?

自己判断で一律に中止する必要はありません。薬ごとの安全性、未治療発作の負担、妊娠時期を比較し、妊娠前から計画します。妊娠が分かった場合も処方医へ早めに連絡してください

Q. 片頭痛で仕事の配慮や診断書を相談できますか?

できます。発作頻度と業務への影響を確認し、短時間休憩、照明、夜勤・残業、在宅勤務、運転・危険作業等について、医学的に必要な範囲を整理します。

Q. 何日続いたら救急受診が必要ですか?

日数だけでは決まりません。突然の最強頭痛、新しい麻痺・言語障害、意識変化、発熱と首の硬さ、妊娠・産後の新しい強い頭痛は直ちに評価が必要です。いつもの発作でも72時間を超えて続く、嘔吐で水分が取れない、薬が全く効かない場合は早めに受診してください。

Q. 片頭痛で入院することはありますか?

多くは外来で治療しますが、二次性頭痛の検査が必要、嘔吐・脱水が強い、72時間を超える重い発作、急性期薬が使えない、安全を保てない等の場合は、救急評価や入院治療が検討されます。

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📚 19. 引用文献・参考資料
引用文献・参考資料

本記事は、日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」、CGRP関連薬ガイドライン・ポジションステートメント、国際頭痛分類ICHD-3、PMDAの最新公開資料等を参照し、患者さん向けに整理しています。薬の承認、添付文書、妊娠・授乳時の注意は更新されるため、診察時に最新情報を確認します。

引用文献・参考資料を表示(全43件)
日本頭痛学会編. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院; 2021.
日本頭痛学会編. 頭痛診療ハンドブック. 中外医学社.
国際頭痛学会・日本頭痛学会訳. 国際頭痛分類 第3版. 医学書院.

最終確認日:2026年7月29日

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👨‍⚕️ 20. 執筆者・医学的確認
心のクリニック武蔵小杉 院長 田村京介
👨‍⚕️ 執筆・医学的確認

院長 田村 京介

医療法人心のクリニック 武蔵小杉 院長
精神科専門医・精神保健指定医

本記事は、日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」、CGRP関連薬ガイドライン・ポジションステートメント、国際頭痛分類ICHD-3、PMDAの公開資料等を参照し、片頭痛の症状、診断、危険サイン、急性期治療、予防療法、薬剤使用過多、月経・妊娠、睡眠・こころ・就労への影響を患者さん向けに整理したものです。診断・治療・薬の適否は個別に異なるため、診察で医師へご相談ください。

保有資格
公益社団法人 日本精神神経学会 精神科専門医
厚生労働省 精神保健指定医
所属学会
日本精神神経学会(JSPN)正会員
東京精神医学会(TPA)正会員
学歴
横浜市立大学 医学部
職歴
東京都保健医療公社 大久保病院
東京都立 広尾病院
東京都立 松沢病院
東京都立 小児総合医療センター
昭和医科大学 烏山病院
複数の精神科・心療内科クリニックに勤務
医療法人心のクリニック 武蔵小杉 院長

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