気分が沈みがちな時こそ、心の焦点を“欠けているもの”から“すでにあるもの”へ少しだけ回す習慣が効きます。おすすめは就寝前の「3行メモ」。その日の中でありがたかった出来事を三つ、短く書くだけです(例:同僚が資料を送ってくれた/電車で席を譲られた/夕食が温かかった)。大小は問いません。大切なのは「出来事→自分の行動→感情」の順に書くこと。「メールを早めに返した→相手が助かった→自分も安心した」のように、因果の鎖を見える化します。
この小さな練習は、注意の向け先を“脅威探し”から“資源探し”へ切り替え、眠りの質や活力、対人関係の満足感に好影響をもたらすことが示されています。加えて、翌日の行動が変わる点も見逃せません。感謝の対象が「人」である場合、翌日にお礼を伝える、ちょっとした手助けを返す、といった具体的行動が生まれやすく、関係の循環が良くなります。
続けるコツは三つ。①寝る前のルーティンに固定(枕元にメモ帳)②“うまく書こう”としない(箇条書きでOK)③停滞期はテーマを決める(自然・人・体・食べ物…)。3日空いたら、まず今日の1行から再開。完璧さより継続です。
「ネガティブがなくなる」のではなく、「ポジティブも見えるようになる」のが狙いです。嫌な出来事があった日は、同時に存在した小さな“よかった”をすくい上げる視点の訓練だと考えましょう。書く時間は2分で十分。スマホのメモでも紙でも構いませんが、寝る直前に青い光を避けたい方は手書きがおすすめです。
チームや家族で共有するのも効果的です。朝礼で「昨日の良かったことを一つだけ」回す、家庭では夕食時に一人一言だけ話すなど、短い儀式にすると続きます。無理に盛り上げなくても大丈夫。静かに“良かった”を積み重ねることが、安心感の土台になるでしょう。