仕事や家事が立て込むと、「今日も座りっぱなしだった」「気づけばため息ばかり」という日が続きがちです。夜にまとめて休もうとしても、日中に溜まった疲労やストレスが強いと、布団に入っても頭が冴えたままで、睡眠の質も落ちてしまいます。
そこでおすすめなのが、1〜5分程度の短い休みをこまめに挟む「マイクロ休息」です。最近の研究では、こうした短い休みでも心身の回復や集中力の維持に役立つことが報告されています。日中の疲労をこまめにリセットしておくと、夜の寝つきや途中覚醒の減少にもつながりやすいとされています。長い休憩が取れない忙しい方ほど、「小さな休み」を味方につけることが大切です。
マイクロ休息のポイントは、「何もしない時間」ではなく「積極的に緊張をゆるめる時間」にすることです。例えば、パソコン作業が一区切りついたら、椅子に浅く腰かけ直し、肩をゆっくり3回まわします。そのまま背もたれにもたれ、ゆっくり深呼吸を3回。1分あれば、首や肩のこわばりがやわらぎ、呼吸も落ち着いてきます。
視線を休ませることも、たいせつなマイクロ休息です。画面を見続けていると、目だけでなく脳も「緊張モード」のままになりがちです。1時間に1回を目安に、20秒だけ遠くの景色や天井の一点をぼんやり眺めてみてください。可能であれば席を立ち、窓の外の空や雲、街路樹など「自然の色」に目を向けると、気分のリセット効果が高まります。
もうひとつのコツは、「休んでいる自分を責めないこと」です。「この忙しいのに、休んでいていいのだろうか」と罪悪感を抱くと、せっかくの回復効果が半減してしまいます。短い休みを挟むことで、その後の集中力や効率が上がり、結果として仕事や勉強が進みやすくなることも示されています。「自分と仕事のための投資」と考えて、1日の中に小さな休みを組み込んでみてください。
具体的には、午前と午後にそれぞれ2〜3回、アラームやタイマーをセットして「マイクロ休息タイム」を作る方法がおすすめです。予定の合間やオンライン会議のあと、電車での移動中など、「切れ目」に合わせて取り入れると続けやすくなります。職場の同僚や家族と声をかけ合い、いっしょに短いストレッチや深呼吸をするのも良い方法です。
それでも「疲れが抜けない」「休んでも気分が落ち込んだまま」「寝つきが悪い日が続く」といった状態が長引くときには、自分ひとりで抱え込まず、専門家に相談してみてください。心や睡眠の不調の背景には、うつ病や不安障害、適応障害などの病気が隠れていることもあります。早めに相談することで、無理を重ねる前に対策を立てやすくなります。