仕事は嫌いじゃないのに、日曜の夕方になると胸がざわつき、夜は寝付けない。そんな「休めない脳」は、強いストレス刺激に慣れすぎた結果、緊張が常にオンになっている状態です。闇雲に気合で乗り切るほど、週明けの不調は積み重なります。週末にできる小さな調整で、自律神経・体内時計・思考の三つを“低負荷”で整えていきましょう。
まずは体内時計。起床を平日±1時間にそろえ、朝はカーテンを全開にして光を浴びます。朝食ではタンパク質をしっかり。糖質だけの朝食は眠気を呼ぶので、卵やヨーグルト、納豆などを一品足すと安定します。午後に長い昼寝は避け、目を閉じて呼吸に集中する10分の仮眠で十分です。
次にリカバリーの軸となる入浴。就寝90分前に、ぬるめの湯で首まで温めると深部体温がゆっくり下がり、眠気が自然に訪れます。浴室ではぼんやりできる安全なアロマの香りを一種類だけ。多刺激は逆に覚醒を高めます。出たらスマホは充電スペースに置き、以後は「デジタル日没」。通知を切り、ブルーライトを減らす照明に切り替えましょう。
思考の整頓には、三段メモが効きます。①事実(やるべき用事)②気持ち(不安・怒り・期待)③次の一歩(5分でできる最小行動)を分けて書く。混ざっているから苦しくなるので、仕分けるだけで脳は落ち着きます。さらに、週末のうちに「月曜最初の15分」を設計。メールは3件だけ、机の上は不要物を90秒で片づけ、会議は発言ポイントを一行で準備。ハードルを意図的に低くするのがコツです。
身体の微調整も侮れません。カフェインは就寝6時間前で打ち切り、夕食は腹八分。筋トレよりも、関節を大きく動かすスローストレッチで副交感神経に切り替えます。外に出られる日は、朝か午前中に15分だけ速歩き。太陽光とリズム運動は気分を底上げし、過剰な不安を鎮めます。
人間関係のストレスには、伝え方の設計が効きます。責め言葉を避け、「私は〜と感じる」「〜してもらえると助かる」と、自分目線と具体的リクエストに置き換える。避けたいのは、相手の性格評価と結論の先取りです。週末に台本をひとつ書いておくと、月曜の会話が楽になります。
それでも「食欲と睡眠が数週間乱れている」「動悸や息苦しさが続く」「出社のイメージだけで涙が出る」などのサインがあれば、我慢競争をやめて専門家へ。早めに立ち止まることは、キャリアを守るための能動的な選択です。
週末の予定を詰め込みすぎないのも重要です。娯楽であっても予定が連続すると「義務化」し、脳は休んだ感覚を持てません。半日は“予定ゼロ”を確保し、思いつきで散歩や昼寝、読書を選べる余白を用意しましょう。家族には「今週は静かに過ごしたい」と先に共有しておくと、気まずさを避けられます。
セルフチェックは次の三つで十分です。①朝の目覚め後、布団の中で今日の自分に0〜10点を付ける②日中に呼吸が浅くなった回数を数える③夜、感情語を一つ日記に書く。点数が連日3点以下、呼吸の浅さが増え、感情語が「不安」「罪悪感」に偏るときは、回復のサポートが必要なサインです。