「もう限界かも」と感じたら、まず“整える順番”を決めましょう。鍵は〈言葉〉〈光〉〈動き〉の3スイッチです。うつや不安、適応障害の入り口では、思考がネガティブに偏り、睡眠が乱れ、ストレスに過敏になります。ここで無理に根性論で踏ん張るより、働き方を一時停止(休職)して体調を立て直し、段階的に復職へ向かう方が、未来のキャリアを守る近道です。精神科・心療内科を探している方にも役立つ、再起動の具体策をまとめました。
第一のスイッチは〈言葉〉。頭の中をただ巡る不安は増幅しますが、紙に「いま感じていること」「困っていること」「最初の一歩」を3行で言語化すると、脳の混線がほどけます。上司や家族への伝え方も、①事実(起きていること)②影響(仕事や生活への支障)③要望(休職・配置転換・業務調整など)の順で短く。対話の回数は短くても、中身は具体的に。カウンセリングでは、この整理と思考の偏りの修正を安全に練習できます。
第二は〈光〉。睡眠は回復装置です。起床後30分以内に屋外の明るさを浴びると体内時計が朝型へ傾き、夜の入眠がスムーズになります。曇りでも室内照明の数倍の明るさがあり、セロトニンの日中リズムを後押しします。就寝前は強い光と画面の刺激を避け、入浴は就寝1~2時間前、寝室は静かで暗く、起床時刻は毎日そろえる――この“地味だけど効く”積み重ねが、不眠・中途覚醒の悪循環を断ちます。成人は目安として1日7時間以上の睡眠を狙いましょう。
第三は〈動き〉。落ち込むほど動けなくなりますが、実は逆も真。ウォーキングや軽い筋トレなど中等度の運動は、ドーパミン・セロトニンの働きを整え、ストレス反応を鎮め、睡眠の質も上げます。コツは「5分だけ」。通勤の一駅手前で降りる、階段を使う、昼休みに外へ出る――“少し体を動かす→気分が1段上がる→もう少し動ける”の上向きスパイラルを作ります。数週間の継続で、不安の閾値や疲れやすさが目に見えて変わります。
休職を選ぶか、働きながら調整するかは「症状の強さ」「勤務先の柔軟性」「支援の有無」で決めます。目安は、①朝起きられない・遅刻欠勤が続く②作業ミスが急増③対人場面で動悸・涙・強い回避が出る――のうち複数に当てはまる場合。迷ったら専門医へ早めに相談を。治療(薬物療法・心理療法)と職場調整(業務量・配置・勤務時間)、生活習慣(睡眠・運動・栄養)を一本の線で結べば、復職は“ぶり返さない形”で実現できます。
最後に。完璧を目指さず「まあ、これでよし」を増やしてください。感謝や小さな達成を1日3つメモする習慣は、注意の向きを“できていない”から“できた”へやさしく戻します。心は鍛えるより、整える。今日から3スイッチで、回復と再スタートの地図を描き直しましょう。