心のクリニック 医療コラム
2025年7月27日
自分に合った睡眠時間を確認!7~9時間が推奨

適切な睡眠時間には個人差がありますが、成人ではおおむね7~9時間が推奨範囲です。毎晩5時間で十分という方は極めて少数で、多くの人は自覚のないまま睡眠不足になっています。日中に眠気を感じなくても、注意力や判断、感情の安定が目立たず低下していることがあります。

まずは、自分に最適な睡眠時間を知ることから始めましょう。下の方法で、現実的に続けられる範囲の「自分の基準」を見つけてください。

■自分に合った睡眠時間を見つける3つの方法
① 現在の睡眠時間に30分ずつ追加する
・今より30分早く就寝、または30分遅く起床して、3~4日間の体調とパフォーマンスを観察
・朝の目覚め、午前の集中力、夕方のだるさ、気分の安定などをメモ
・改善が実感できたら、さらに30分追加して再評価
・無理のない範囲で、快調に過ごせる最小の時間を探す

② 4晩連続で「好きなだけ」眠る
・連続4晩、目覚ましを使わず自然に起きるまで寝る(可能な連休などで実施)
・初日は長く、2晩目以降は徐々に短くなり、3~4晩目で安定しやすい
・3~4晩目の平均睡眠時間=自分に十分な睡眠の目安

③ 今の生活サイクルから必要時間を推定する
・例:平日5日=各7時間、休日2日=各9時間 → 週末合計で+4時間の「追加睡眠」
・この4時間を平日5日に均すと、1日あたり約0.8時間(約50分)不足している計算
・平日を7時間→7時間50分に近づける工夫を検討
・ただし、これは週末で負債を返せている前提の推定。実際の必要時間は①②での確認がおすすめ

補助ツール
・紙の睡眠日記、スマホのメモや睡眠アプリを使い、就寝・起床・途中覚醒・昼寝・カフェイン・アルコール・体調を1~2週間記録
・週単位で平均し、平日と休日の差も確認

■まずは「量」を満たす、そのうえで「質」を整える
・平日も休日も、起床時刻の差は1時間以内を目安にそろえる
・足りない日は昼寝15~20分(15時まで)で安全第一に補う
・就寝90分前の入浴、就寝1~2時間前の減光とスマホ時間カットで入眠を助ける
・カフェインは就寝6~8時間前まで。就寝前の飲酒は中途覚醒を増やしやすい
・寝室は暗く静かでやや涼しく(目安18~22℃、湿度40~60%)

■9時間以上眠ってしまうときの考え方
通常、十分に休めていると極端な長時間睡眠は続きません。9時間以上が続く場合は、次の可能性を点検しましょう。
・平日の睡眠負債が多く、返済中
・睡眠の質を下げる要因(いびき、無呼吸、むずむず脚、痛み、鼻づまり、環境不良)
・体調不良(感染症、甲状腺機能、貧血など)や一部の薬の影響
・気分の落ち込みや意欲低下が強い場合はメンタルの影響も考慮

■よくある質問
Q. ショートスリーパーだと思います。
A. 生まれつき短時間睡眠で本当に十分な人はごく少数です。自覚に反して、客観的な作業成績や感情の安定が落ちていることがあります。

Q. 平日はどうしても短くなります。
A. 起床時刻は固定し、可能な日は就寝を前倒し。昼寝は短時間で。週末は「早寝・遅起き」を意識して、体内時計のずれを最小限に。

■ポイント
・成人の推奨範囲はおおむね7~9時間。6時間以下で十分な人は極めて少数
・自分の必要時間は、30分追加法、4晩自由睡眠法、生活サイクルからの推定で確認
・まずは量を満たす。そのうえで起床時刻の安定、就寝前の光・カフェイン・アルコール対策で質を整える
・週末の長寝は貯金ではなく平日の負債の返済。平日との差はできるだけ小さく
・9時間以上が続く、日中機能が落ちる、いびきや無呼吸が疑われる場合は受診を検討