気温が下がり日照時間が短くなるこの時期は、気分の落ち込みや仕事の効率低下が起こりやすく、うつや不安、適応障害の引き金にもなります。朝をどう始めるかが、その日のストレス耐性や集中力を大きく左右します。今日は、復職中・休職検討中の方にも役立つ“朝の設計図”をご提案します。キーワードは「光・体温・言葉」です。
まずは光。起床後30分以内にカーテンを開け、ベランダや窓際で外の景色を眺めましょう。曇りでも十分な照度があり、体内時計を整える助けになります。朝の光刺激はセロトニンの働きを後押しし、日中の安定感と夜の眠気のスイッチを作ります。スマホの強光は寝る直前には刺激が強すぎますが、朝は味方。朝の数分の“光の浴び直し”で、睡眠と覚醒のリズムは整っていきます。
次に体温。人のからだは起床後に体温をゆっくり上げる設計になっています。白湯一杯、顔を洗う、肩甲骨を大きく回す、ふくらはぎをポンプのように動かす——この3〜5分の小さなルーティンで血流が回り、ドーパミンによる「やる気の点火」が起こりやすくなります。余裕があれば、朝の散歩を7〜10分だけ。ペースは会話ができる速さで十分です。出勤前の“ミニ通勤訓練”としても活用できます。
三つ目は言葉。心がざわつく朝ほど、頭の中は未来の不確実性で埋まりがちです。ノートやスマホに、「今日の一歩」を3行だけ言語化しましょう。(1)すぐ終わる用事(2)集中が要る一本(3)体を動かす一つ、の三層に分けるのがコツです。終わったら□に✓を入れる。結果ではなく「着手」に✓を付けることが、自己効力感の貯金になります。さらに寝る前は「良かったこと」を一行で。感謝の対象は人でも出来事でもOK。“探す姿勢”そのものが不安の暴走を弱めます。
仕事の場面では、伝え方・聞き方がストレスを左右します。会議や面談で「相手の意図を一言で要約→確認」の順番を意識してみましょう。「つまり○○という理解で合っていますか?」と返すだけで、不要な衝突が減り、関係の温度が下がります。自分の要望を出すときは、「相手のメリット→自分の希望→期限・分量」を短く。例えば「この書式にすると後工程が早くなります。私の方で雛形を作るので、金曜までに10件だけ試しませんか?」——攻撃でも迎合でもない、対等で現実的な提案が不安を減らします。
それでも朝が重い、眠りが浅い、食欲や興味の低下が続く、職場が怖い——こんなサインが2週間以上続くなら、我慢比べは禁物です。休職・復職の手続き、主治医意見書、リワークやカウンセリングの活用など、医療と職場をつなぐ選択肢があります。睡眠・ストレス・栄養・運動・人間関係は互いに影響し合うため、プロと伴走しながら、無理なく“戻れる道”を設計していきましょう。