睡眠負債とは、日々の睡眠不足が積み重なり、心身に負担がかかっている状態を指します。たとえば、7時間の睡眠が必要な方が毎日6時間しか眠れない場合、1時間ずつ「借金」のように不足が蓄積していきます。やっかいなのは、自覚が乏しいまま進行しやすいことです。「自分は眠れている」と感じていても、実際には注意力や判断力が低下していることがあります。
この睡眠負債を解消するには、蓄積した不足分に見合う追加の睡眠が必要です。一般に、1日あたり1時間の負債を返済するのに、十分に眠ってもおよそ4日を要するとされています。つまり、一晩の「長寝」で一気に取り戻すのではなく、数夜かけて少しずつ回復していくイメージです。
「週末に寝だめして翌週に備える」という考え方は一見合理的に思えますが、睡眠は“前払いの貯金”ができません。不足分の返済(取り戻し)は可能でも、先回りして多めに寝ておくことで、先の数日分まで効果が持続するわけではありません。むしろ、週末の大幅な寝坊は体内時計(概日リズム)を後ろにずらし、日曜夜の入眠困難や月曜朝の不調につながることがあります。
■ポイント
・睡眠負債は自覚しにくい。
・返済は数日単位で行う。
(目安:1日1時間の不足→返済に約4日かかる)
・寝だめは“前払い”にならない。まずは起床時刻の安定が近道。