心のクリニック 医療コラム
2025年7月27日
睡眠効率は85%以上が大切

睡眠効率は「実際に眠っていた時間 ÷ 布団(ベッド)にいた時間 × 100」で求める指標です。
一般的には、85~90%以上を目標にすると、寝つきが極端に遅くなく、夜間の途中覚醒も少ない状態に近づきます。
一方で、効率が低い場合は、寝つきに時間がかかったり、夜中に何度も目が覚めている可能性があります。


・22:30就床、23:00入眠、夜間覚醒合計30分、6:00起床、6:10起床離床
→ 床上時間=7時間40分、総睡眠時間=6時間30分
→ 睡眠効率=6.5 ÷ 7.67 × 100 ≒ 85%

注意
・いつも95~100%に近い数値が続く場合、慢性的な寝不足(床上時間が短すぎる)で「倒れ込むように寝ている」ことが隠れていることもあります。効率だけでなく、総睡眠時間(量)も合わせて確認しましょう。

■睡眠効率を上げる基本
・起床時刻を固定する
休日も差は1時間以内が目安。朝の光(起床直後~1時間以内に5~15分)を浴びると体内時計が整います。

・就床時刻は「眠気が来てから」
早く布団に入るほど良いわけではありません。眠気が弱いまま床上時間を延ばすと効率が下がります。

・寝床は睡眠の場所に限定
スマホ・動画・作業はベッド以外で。20分以上眠れないときは一度ベッドを離れ、眠気が戻ったら再入床。

・昼寝は短く、遅い時間は避ける
15~20分、できれば15時まで。長時間や夕方以降は夜の寝つきを悪化させます。

・光、カフェイン、アルコールの整え
就寝1~2時間前は照明を落とし、画面時間を最小限に。カフェインは就寝6~8時間前まで。就寝前の飲酒は中途覚醒を増やしやすいので控えめに。

・寝室の環境調整
静か・暗い・やや涼しく(目安18~22℃、湿度40~60%)。枕は首の自然なカーブを保てる高さに。

■睡眠日誌で「見える化」する
1~2週間、次の項目を毎日メモします。
・就床時刻/消灯時刻/入眠までの体感時間
・夜間の覚醒回数と合計時間
・起床時刻/離床時刻
・昼寝の有無と時間帯・長さ
・カフェイン・アルコール・運動・気分
週ごとに合計し、
・総床上時間(離床-就床)
・総睡眠時間(入眠後からの合計-夜間覚醒)
・睡眠効率(総睡眠時間 ÷ 総床上時間 × 100)
を算出すると、ご自身の傾向がつかめます。アプリや活動量計は参考にしつつ、日誌の主観情報も大切にしてください。

■効率が低いときの立て直し(1~2週間の目安)
直近1~2週間の平均「総睡眠時間」を確認
例:平均6時間なら、まずは床上時間も6時間台に近づけて効率を回復させます(就床を後ろへ寄せる)。

起床時刻は固定、就床は15~30分ずつ調整
効率が85%を超えて安定してきたら、床上時間を15分単位で徐々に延長。総睡眠時間も一緒に伸ばします。

2週間たっても改善しない、または日中機能が落ちている場合は受診を検討
いびき・無呼吸の疑い、むずむず脚、痛み、抑うつ・不安など基礎要因が隠れていることがあります。

■よくある質問
Q. 眠るために早く布団に入っていますが、寝つけません。
A. 眠気が弱い時間帯に床上時間を延ばすと効率が下がります。就床を後ろへずらし、眠気が来てから入床を。

Q. 目覚まし前に起きてしまいます。
A. 安定して早起きが続くなら、就床を15分ずつ前倒しして総睡眠時間を補いましょう。

Q. ウェアラブルの数値と自覚が合いません。
A. 推定値には限界があります。日誌の主観(寝つきや途中覚醒の体感)と併せて判断しましょう。

■ポイント
・睡眠効率=実睡眠時間 ÷ 床上時間 × 100。目標はおおむね85~90%
・効率だけでなく総睡眠時間(量)も確認。95~100%が続くなら寝不足の反映のことも
・起床固定、就床は眠気が来てから。寝床は睡眠の場に限定
・昼寝は短く早めに。就寝前は減光・画面控えめ、カフェインは夕方以降控える
・1~2週間の睡眠日誌で傾向を把握し、効率が安定したら床上時間を15分単位で調整
・改善しない、いびき・無呼吸の指摘、強い日中の眠気や気分の落ち込みがある場合は受診を検討