心のクリニック 医療コラム
2025年7月27日
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる

平日に睡眠負債をためて週末の2日間で「まとめ返済」しようとしても、多くの場合は完済できません。その結果、負債を抱えたまま新しい週を迎え、集中力の低下・気分の不安定・日中の眠気などが持ち越されます。

さらに、週末の夜更かしや寝坊は、平日のリズムとずれを生み、いわゆる社会的時差ぼけを招きます。月曜~水曜にかけて調子が上がらず、木曜・金曜でようやく整っても、再び週末で崩れて…という悪循環に陥りやすくなります。

規則正しい睡眠習慣は、体内時計(概日リズム)を整える最も基本的な対策です。休日でも就床・起床時刻を大きく動かさず、一定のリズムを保つことで、夜には自然な眠気が高まり、朝はすっきり目覚めやすくなります。結果として、平日のパフォーマンス向上や日中の充実感が得られます。

つまり、普段から十分な「量」と「質」の睡眠を確保しつつ、平日も休日も毎日ほぼ同じ時間に寝て、同じ時間に起きることが重要です。どうしても差が生じる場合でも、平日と休日の起床時刻の差は±1時間以内に収めるのが目安です。

一方、仕事や家庭の事情で平日に十分な睡眠時間が確保できず、週末に不足分を補う必要がある場合は、「早寝・遅起き(早起きではない)」を意識してください。就床を前倒しして起床を少し遅らせる方法なら、体内時計を大きく後ろにずらさずに睡眠を追加しやすく、時差ぼけの影響を最小限にできます。

■実践のコツ(短期で崩れたときの立て直し)
・起床時刻は固定(最優先)。寝坊で調整しない。
・どうしても眠い日は、昼寝15~20分を上手に活用(15時以降は避ける)。
・就寝90分前の入浴、就寝1~2時間前は照明を落として画面時間を最小限に。
・カフェインは就寝6~8時間前まで。アルコールは入眠を早めても睡眠の質を下げる点に注意。
・休日明けに崩れたら、3日計画(起床固定+就床を毎日30~60分ずつ前倒し)で戻す。

■ポイント
・週末の「まとめ返済」だけでは不十分。 負債は持ち越され、週明けの不調につながる。
・社会的時差ぼけが悪循環の元。 夜更かし+寝坊で体内時計がずれ、月~水の調子が落ちやすい。
・基本戦略は「起床時刻の固定」。 平日・休日とも起床時刻の差は±1時間以内を目安に。
・不足を補うなら「早寝・遅起き」。 体内時計を大きく乱さずに睡眠を追加できる。
・崩れたら3日で再調整。 起床は動かさず、就床を30~60分ずつ前倒ししてリズムを戻す。