「最近、会社で壊れそう」と感じたら、それは心身の防御反応です。うつや不安、適応障害の入り口では、集中力の低下・朝の動けなさ・眠りの乱れが同時に起こりやすい。まず「いま出来る最小単位」に分解し、からだ→こころ→働き方の順に立て直しましょう。
からだの土台を整える
・睡眠: 起床時刻を固定し、朝はカーテン全開で朝日を浴びる。日中は軽い有酸素運動、夜は入浴を就寝2時間前までに。カフェインは午後は控える。これだけで体内リズムが整い、セロトニンのリズムも安定します。
・腸を味方に: よく噛んで食べ、朝食に発酵食品・食物繊維・たんぱく質を。腸は脳と迷走神経で結ばれ、気分へ影響します。腹八分目と水分補給を習慣化。
・ストレス対策: 1分の呼吸リセット(4秒吸う→6秒吐くを10回)。肩と顎の力を抜く。就寝前のスマホは明るさを下げ、ベッドでは見ない。
こころの技術を身につける
・言語化: 事実・解釈・感情・望む行動をメモに分けて書く。混線をほどくと不安が下がります。
・人とのやりとり: 伝え方は「相手の目的」「自分の意図」「合意した次の一歩」の三点を短く共有。聞き方は要約と確認を一言添えるだけで誤解が激減します。雑談は天気→近況→相手の努力の観察の順で。
・不安ループの脱出: 今すぐ出来る行動に3分だけ着手。完了を小さく刻み、達成記録でドーパミンを健全に使う。アルコールやエナジードリンクで紛らわせない。
働き方を調整する
・限界サインが続く時は早めに相談。休職は「負け」ではなく、未来のキャリアを守る戦略です。主治医・会社・本人の三者で、目標(睡眠・活動量・不安強度など)を合意。
・復職前は通勤訓練や日中活動の固定化、業務の段階的復帰(時間・業務内容)を計画。必要に応じてリワークやカウンセリングを併用します。
・セルフチェック: 2週間以上、①朝の倦怠が続く ②寝つき・早朝覚醒 ③食欲や体重の変化 ④楽しめない ⑤ミスやヒヤリが増える――が複数当てはまれば、受診のタイミングです。
ミニルーティン例
・朝の5分: 窓を開けて深呼吸→顔を洗う→今日の一歩をメモ。通勤前の短い散歩で体温と覚醒度を上げる。
・昼の5分: 首肩ストレッチ→背伸び→水を飲む→目を閉じて呼吸10回。
・夜の5分: 明日の準備を1つだけ→入浴→照明を落として音楽や読書で緊張をほどく。ベッドに悩みを持ち込まない。
治療は足し算です。薬物療法が必要な場面では主治医と相談しつつ、睡眠衛生・運動・栄養・対人スキルを並行して整えるほど回復は安定します。効果判定は「よく眠れた日数」「日中活動時間」「不安の強さ」を週ごとに確認しましょう。
仕上げに、生活記録表で睡眠・活動・気分の波を見える化しましょう。