仕事や人間関係の負荷が続くと、心は少しずつ摩耗します。うつや不安、適応障害の入口に近づく前に、1日の設計図を整えることが予防にも回復にも役立ちます。ここでは誰でも今日からできる「朝・昼・夜」の3リズムを提案します。日々のセルフケアの土台としてお役立てください。
●朝:体内時計をそろえ、気分のギアを入れる
起床後1時間以内にカーテンを開け、太陽光を浴びましょう。軽いストレッチや通勤前の10分散歩で、脳内のセロトニンが働きやすくなります。朝食は卵や魚、納豆などたんぱく質を意識し、コーヒーは飲み過ぎない範囲で。ベッドからすぐスマホに飛びつかないことも、出勤前の不安を増幅させないコツです。
●昼:集中と休憩を切り替え、達成感を刻む
会議やタスクは「区切り」を意識。50分集中+10分休憩など自分に合うサイクルで、短い散歩や階段、白湯で気分転換を。小さな達成をメモに残すと、ドーパミンのごほうび回路が健全に働き、午後のだるさやイライラの波を緩やかにします。昼寝は20分以内、カフェインは15時以降を控えると夜の睡眠が整います。
●夜:緊張をほどき、眠りの準備を始める
帰宅後は「光」「温度」「音」を穏やかに。入浴は就寝の約2時間前、照明は暖色寄りで明るさを落とし、ベッドでは仕事をしないルールを。考え事が止まらない日は、心配事を紙に書き出して頭の外に置きます。寝酒は睡眠を浅くするため避け、寝具は清潔に保つと熟睡感が戻りやすくなります。
3リズムは、休職中の生活再建や復職準備にも有効です。起床・就寝の固定、通勤時間帯の散歩、30〜60分の軽作業から始め、週単位で負荷を少しずつ上げると、体力と自信が一緒に戻ってきます。つらい時は家族や職場に一言「今はペース構築中」と共有し、無理を積み重ねないこと。必要に応じてカウンセリングや医師のサポートを取り入れましょう。
◎補助テクニック
呼吸は最速のリセット。4秒吸って6秒吐く腹式呼吸を3分。就寝前はぬるめの入浴とストレッチ、温かいノンカフェインを。週150分の有酸素運動+週2回の軽い筋トレは睡眠と気分を底上げ。短い雑談や感謝メモはオキシトシンを促します。
◎セルフモニタリング
気分・睡眠・食事・活動量を簡単に記録すると、悪化の前触れに早く気づけます。会議が続いた週、夜更かしの翌日、SNSの見過ぎなどトリガーが見えると対処が具体化。休職中は「午前・午後・夜」の3コマで予定を作り、小さな約束を守る積み重ねを。
◎受診の目安
朝の動悸や息苦しさ、食欲・体重・睡眠の大きな変化、ミスが急に増える——こうした状態が2週間以上続く時は医療相談のサインです。