眠れない夜が続くと、つい薬に頼りたくなりますが、まず試すべきは生活に根ざした行動の見直しです。慢性的な不眠には非薬物のケアが第一選択とされ、コツは「体内時計を整える」「寝床と睡眠の結び付きを強くする」の二つです。
朝は起きる時刻を毎日そろえ、起きたらすぐに屋外の光を浴びましょう。晴れなら15〜30分の散歩、雨や冬は室内でもできるだけ明るく。夕方以降は強い光や長時間の画面から距離を取り、夜は照明を落として眠気を迎えます。朝食は軽くても良いので欠かさず、水分とたんぱく質を少し補給すると目覚めが安定します。
ベッドは眠る(または親密な時間を過ごす)ためだけの場所に。20分以上眠れないときは一度ベッドを離れ、眠気が戻ってから戻る「出入りのルール」を。昼寝はするなら20分まで、夕方以降は避けましょう。就寝前の激しい運動、熱い入浴、考えごと会議、ベッド内でのメール返信は“覚醒のスイッチ”になります。
就寝時刻は「眠くなるまで待つ」くらいがちょうどよく、週末の寝だめは1時間以内に。カフェインは昼過ぎまで、アルコールは眠りを浅くするため控えめに。アラームは起床だけに使い、二度寝のスヌーズより「一度で起きる」を徹底すると体内時計が早く整います。
実践のコツは“記録”。寝た時刻・起きた時刻・昼寝・カフェイン・運動を1週間メモし、少しずつ整っていく感覚を確認しましょう。光目覚ましや厚手の遮光カーテンなど環境の工夫も有効です。数日〜数週間でリズムが安定していくのが目安。2週間以上の不調や、日中の支障が強い場合は遠慮なくご相談ください。
よくある落とし穴は三つ。①「寝ようと努力する」ほど覚醒が高まり逆効果。②「眠れない時間をベッドで過ごす」ほど寝床=起きている場所と学習される。③週末の昼起きで体内時計が週ごとにリセットされること。焦りを感じたら深呼吸し、翌朝の行動(起床・光・朝食)を整えることに意識を戻しましょう。
1週間の実験プラン:Day1〜3は起床・光・朝食を徹底。Day4〜5は就寝前1時間の“ゆるダウンタイム”(照明を落とす、入浴、ストレッチ、日記)。Day6〜7は寝室の環境改善(遮光、室温、寝具)。短期的に就床時刻が遅くなることがあっても、起床時刻を動かさないほうが回復は早いのが一般的です。日中の眠気が強い日は安全第一で車の運転は控えめに。