心のクリニック 医療コラム
2025年10月11日
月曜朝の不安を軽くする「脳・睡眠・職場」リセット術

「また一週間が始まる」と胸がざわつく――そんな不安は、うつ・適応障害の初期サインであることも少なくありません。不安・抑うつ・ストレス反応は、脳内のセロトニンとドーパミン、そして睡眠リズムの乱れと密接に関係します。今日は、休職や復職を検討する前に“今日からできる”3つの実践をまとめます。

第一は「朝のスイッチ」。起床後30分以内に外に出て日光を浴び、軽い散歩を5〜10分。皮膚や網膜への光刺激は体内時計を整え、日中のセロトニン活性を後押しします。朝食はタンパク質を含む“噛む朝食”を心がけると、材料(トリプトファン)が確保され、気分の土台が安定します。さらに、昼休みの短い有酸素運動は、やる気のドーパミン経路を揺り起こします。「やる気を待つ」のではなく「小さく動く」ことで、脳は“できそう”の手応えを学習します。

第二は「夜のルール」。布団=睡眠の結び付きを強めるため、眠れないまま長く横にならない、眠気が戻るまでベッドから離れる、起床時刻は固定する――この3点が睡眠認知行動療法の要です。完璧な8時間より“規則的な目覚め”が優先。夜のスマホ・強い光・カフェインは控え、昼寝は20分以内・午後遅くは避ける。睡眠が整うと、翌朝の不安耐性が自然に上がり、うつ・不安の悪循環が切れやすくなります。

第三は「仕事のセーフティネット」。業務量や評価不安、人間関係の摩擦が重なると、適応障害のリスクが高まります。症状が続く場合、医療機関での診断・治療と並行して、職場では“段階的な調整”を。出社日数・勤務時間・業務種類をステップ式に戻すと、ドーパミンの達成感が積み重なり、再発予防にも有効です。主治医・産業医・人事が同じ地図で進むことが重要で、休職から復職までを5段階で伴走する日本の手引きも整っています。

ここまでの3つをまとめると――①朝の光+噛む朝食+小さな運動、②夜は“眠れなければ一度離れる”と“起床時刻固定”、③仕事は段階的に。これらは薬に頼らず始められる、科学的根拠のあるセルフケアです。不安・抑うつ・睡眠不調・ストレスでお困りの方、カウンセリングや精神科・心療内科の専門支援を早めに活用してください。休職・復職の相談、適応障害の評価、睡眠のテーラーメイド改善まで、あなたの状況に合わせて伴走します。