週のはじまりが近づくと、胸の奥がざわつき眠りが浅くなる――そんな相談をよく受けます。大切なのは「不安=自分の弱さ」と捉えないこと。不安は脳の警報であり、対処次第で必ず音量を下げられます。今日は、明日から使える三層アプローチ(言葉・体・環境)で、負担を小さくする方法をご紹介します。
第一層は「言葉」を整えること。頭の中のモヤモヤは、紙に出すと輪郭がはっきりします。今感じている不安を、①予測(起きていない心配)②課題(手を打てること)③ノイズ(関係ない雑念)に仕分けし、②だけにエネルギーを配分しましょう。「午前中にA資料の骨子だけ」「上司に確認は3点に限定」など、動詞から始まる短い文で書くと行動に移りやすくなります。完璧ではなく、進捗を可視化することが目的です。
第二層は「体」から不安の燃料を減らすこと。朝はカーテンを開けて光を浴び、5〜10分の早歩きで呼吸を弾ませるだけでも、体内のリズムは整います。朝食はたんぱく質を意識し、カフェインは昼過ぎまでに。夜は寝る90分前に湯船で温まり、スマホは寝室の外に置く。眠れない時は「横になって目を閉じるだけでも回復している」と捉え直し、時計は見ない。体の手当ては感情の土台を安定させます。
第三層は「環境」を味方にすること。月曜のハードルを下げるために、前日夜に“スタート儀式”を用意します。机に「最初の15分でやること」を1枚だけ置き、PCはその資料が開く状態で閉じる。仕事は“塊”ではなく“ささみ”にほぐすのがコツ。見積もり、下書き、送信準備…と工程を分け、15分タイマーで区切ると脳の抵抗が減ります。もし人間関係や業務量の問題が不安の源なら、上司・産業医・人事や外部の専門家に相談する計画も“工程”に含めましょう。自分だけで抱えない設計こそ、最も効果的な環境調整です。
それでも症状(動悸、食欲低下、涙が出る、朝起きられない)が2週間以上続く場合は、適応障害やうつ状態が背景にある可能性があります。無理に根性で乗り切ろうとせず、専門家と一緒に“ブレーキの効く働き方”へ設計変更を。休むことは負けではなく、未来のキャリアを守る戦略です。
不安はゼロにはなりませんが、言葉・体・環境の三層で“音量を調節”できます。一度で完璧を狙わず、明日の15分から始めてみてください。
当院では、睡眠や不安、職場のストレスに関するご相談、休職・復職の進め方、カウンセリングの併用まで幅広くサポートしています。日吉心のクリニックは、横浜市・日吉駅から徒歩1分の精神科・心療内科です。WEB予約も可能です。ひとりで抱え込む前に、どうぞ気軽にご相談ください。