疲れやすい、何をしても楽しくない、集中できない――そんな状態が「たまたまの不調」か「こころの病気のサイン」か、見極めの鍵は“期間と生活への影響”です。目安として、憂うつな気分や興味の低下がほぼ毎日、2週間以上続き、仕事・学業・家事・対人関係に支障が出ている場合は専門家へ相談を。食欲や体重の変化、眠気または不眠、罪悪感、動作や思考の遅さ、焦燥感、集中困難などが複数重なるほど、早めの受診が勧められます。
対処の第一歩は“生活の最小化”。掃除は5分だけ、買い物は同じ食品セットを繰り返す、返信は定型文で――判断や労力を節約し、体力を温存します。予定帳には「やることを減らす」時間も書き込み、できたら小さく○を付けて達成感を可視化。朝はカーテンを開け、タンパク質を含む簡単な食事を摂り、日中は短い散歩で体を起こします。夜は“考えごと時間”を昼間に移し、就寝前の長時間スマホは避けましょう。
周囲へのヘルプサインも大切です。「返信が遅いかも」「家事を分担してほしい」など、具体的に伝えるだけで負担は軽くなります。スクリーンタイムやカフェイン・アルコールは控えめに。症状や治療法を検索する際は、公的機関など信頼できる情報源に絞り、誤情報に振り回されないこともセルフケアの一部です。
一方で、強い希死念慮や自己否定が続く、身体の痛みや動悸などが顕著、アルコールに頼りがち、といった場合は迷わず医療へ。心理療法や薬物療法には有効性が示されており、組み合わせて回復を目指します。職場・学校への配慮や休職の調整も、医療と連携しながら整えていけます。復帰時は「午前のみ勤務」など段階的に。
判断に迷う時は、まず相談から。早めに手を打つことが、長引かせない最大のポイントです。当院でも状態に合わせた支援をご提案します。