仕事のストレスや人間関係の負荷が高まると、心は簡単にブレます。うつや不安、適応障害の入り口で踏みとどまるために、今日から試せる“再起動ループ”を提案します。ポイントは、完璧ではなく「小さく、繰り返す」こと。休職中の方、復職前の方にも役立つ実践法です。
①朝いちのリセット
起床後1時間以内に外の光を浴び、3〜10分のリズム運動(早歩きや階段)を。体内時計が整うと夜の眠気が自然に訪れ、睡眠の質の底上げにつながります。朝食は腹八分で、よく噛むことで迷走神経が落ち着きます。
②日中の集中をラクにする
午前は「15分だけ全集中→5分小休止」を3セット。短時間の没頭は自己効力感を上げ、ドーパミンの健全な働きを促します。メールやSNSは時間を決めてまとめて処理し、刺激の取り過ぎを避けましょう。
③午後の感情メンテ
不安やイライラが湧いたら、紙に「事実」「解釈」「行動プラン」を3行で書き分ける。言語化は思考の絡まりをほぐし、過度の自己批判を弱めます。誰かに伝える必要はありません。自分のための短いメモで十分です。
④夜のクールダウン
寝る2時間前から照明をやや落とし、スマホ・PCは距離を置く。ぬるめの入浴とストレッチで副交感神経を優位に。ベッドでは眠気がないときは無理に寝ようとせず、一度起きて静かな行動に切り替えます。
⑤感謝のスイッチ
就寝前に「今日うまくいったこと」「助けられたこと」を3つ書く。感謝の視点はストレスに対するレジリエンスを高め、人間関係のぎこちなさを和らげます。復職準備中の方は、翌日の通勤訓練や朝の支度を前夜にセットしておくと継続しやすくなります。
会話のつまずきを減らすコツも、再起動を助けます。伝えにくい話題ほど「結論→理由→具体的お願い」の順に一息で。相手を責める言い回しを避け、自分の感情と要望を主語にする“Iメッセージ”が有効です。聞く側に回るときは、相手の言葉を短く言い換えて返すだけでも安心感が生まれ、職場や家庭の摩擦が軽くなります。
ループを支える小さなルールとして、カフェインは午後は控えめに、夕方以降の仮眠は15分以内、寝酒は避ける、寝室は暗く静かで涼しく。腸の調子が気分に影響するため、発酵食品や食物繊維、水分を意識し、過度な夜食や暴飲暴食を控えましょう。朝散歩・リズム運動・咀嚼は、気分の安定に関わる神経伝達の働きを後押しします。
この5ステップは、睡眠・ストレス対処・コミュニケーション・自己管理を横断的に整えるミニ習慣です。調子が悪い日は①と④だけでもOK。続けるほど、気分の波の“底”が浅くなり、回復のスピードが上がります。つらさが強い、食事や睡眠が長く乱れている、希死念慮があるときは、一人で抱えず早めに専門家へ。