筋弛緩法は、からだの筋肉に短く力を入れ、その後ゆっくり力を抜くことを繰り返して、緊張を下げるリラクゼーション法です。からだの緊張がほどけると、心の高ぶりも落ち着きやすくなり、寝つきや途中覚醒後の再入眠を助けます。
■基本の考え方
力を入れる(約10秒)
力を抜く(約20秒)
「緊張」と「弛緩」の違いを感じ取る
力は全力の60〜70%が目安です。痛みが出るほど力を入れないことが大切です。
■準備
・姿勢は仰向け(横向きでも可)。肩とあごの力を抜く
・呼吸は楽に。吸うときに準備、吐きながら力を抜くイメージ
・時計を見続けない。心の中でゆっくり数える程度で十分
■手順(全身版)
各パートで「力を入れる→ゆるめる」を1回ずつ。気に入れば2回繰り返しても可。
手と前腕
片手のこぶしを握る(5〜10秒)→力をほどく(15〜20秒)。反対側も。
上腕
二の腕を軽く固める(肘を少し曲げて力こぶを作る感覚)→ゆるめる。
肩
肩をすくめて首に近づける→落とす。肩甲骨の重さが沈むのを感じる。
顔
額にシワを寄せる→ゆるめる。目を軽くつぶる→まぶたをふわっと緩める。
歯は強く噛みしめない(顎関節に負担となるため注意)。
胸・背中
軽く胸を張る/背中をそらすイメージ→力を抜く。呼吸は止めない。
腹部
お腹をやや固くする→吐きながらゆるめる。温かさ・重さを感じる。
おしり
おしりの筋肉を軽く締める→ゆるめる。
太もも
太ももに力を入れる→ゆるめる。
ふくらはぎ
つま先を手前に引き、ふくらはぎを緊張→ゆるめる。次に、つま先を伸ばしてスネ側を緊張→ゆるめる。
足先
足指をぎゅっと丸める→ひらく。
終わりに、全身が沈むような重さ・温かさを10〜20秒味わって終了。
■2分でできる簡易版(急いで寝たいとき)
こぶし→肩→顔→お腹→太もも→ふくらはぎ→足先の順で、各部位を1回ずつ「5秒緊張→15秒弛緩」。合計2分前後。
■うまくいくためのコツ
・吐く息に合わせて「ゆるむ」と心の中でつぶやく
・痛みが出るほど力を入れない(60〜70%の力で十分)
・緊張と弛緩の差を観察する時間を少し長めに取る
・途中で雑念が出てもそのまま続ける(評価しない)
・寝つけないときは、別日に同じ手順で練習を重ねるほど効果が安定
■よくあるつまずきと対策
・力加減が難しい
→ 50%くらいから始め、慣れてきたら60〜70%へ。痛み・つりそうな感覚が出たら即中止。
・時間が長くて続かない
→ 2〜3部位だけ(手・肩・ふくらはぎ)を選び、1分版から。
・顎に力が入りやすい
→ 上歯と下歯の間に「名刺1枚分の隙間」のつもりで。舌先は上の前歯の付け根あたりに軽く触れる位置へ。
・やっても眠れない
→ 1〜2サイクルで眠気が来なければ、いったん布団を離れて暗めの場所で単調な行動を数分。眠気が戻ったら再入床(刺激制御の原則)。
■ポイント
・筋弛緩法は「短く力を入れる→ゆっくり抜く」を繰り返し、からだの緊張を下げて寝つきを助ける方法
・力は全力の60〜70%。痛みが出るほど行わない。吐く息に合わせてゆるめる
・全身版は約6〜10分、簡易版は約2分。継続で効果が安定しやすい
・顎の噛みしめは避ける。痛み・持病があれば無理をせず範囲を調整
・眠れないときは無理に続けず、いったん離床→眠気とともに再入床(刺激制御)