心のクリニック 医療コラム
2025年7月27日
寝付けない① 認知シャッフル睡眠法

認知シャッフル睡眠法は、脈絡のない言葉やイメージを意図的に思い浮かべ、論理的な思考をゆるめて入眠を促す方法です。頭の中で会議や反省会が始まると、脳は「まだ活動中」と判断して眠りの準備に入りにくくなります。あえて関連性のないイメージを次々と並べることで、脳に「そろそろ眠ってよい」という合図を送りやすくします。

■手順(ベッドの中で静かに実施する)
出発の言葉を一つ決める
ひらがな3~5文字程度の、短くて身近な言葉(例:するめ、くるま、ほうれんそう、 など)。

1文字目で思いつく言葉をゆっくり並べる
例:「す」→ すいか、すずめ、すなはま、すいどう…
言葉が出たら、各イメージを2~3秒だけ軽く思い描く(細かい描写は不要)。

出なくなったら次の文字へ
最初の言葉の2文字目→3文字目…と進める。行き詰まったら、新しい出発の言葉に切り替えてよい。

評価しない
「うまくできているか」「合っているか」は考えない。単調に、淡々と続ける。

目安は3~10分。途中で眠気が来たら、そのまま流れに任せます。

バリエーション(やりやすい型を選ぶ)
・頭文字シャッフル
五十音の任意の1文字から始めて、同じ頭文字の言葉だけを並べる(例:「か」→ カラス、かばん、カーテン、缶づめ…)。

・カテゴリーシャッフル
果物→家の中の物→地名→動物→文房具…のように、ジャンルを次々と切り替える。

・場面シャッフル
公園→海→図書館→温泉…と、関係のない場所を次々に短く切り替える(1場面2~3秒)。

どの型でも「関連性を作らない」「短く区切る」がコツです。

■うまくいくためのコツ
・映像は薄く、短く
映画のように作り込まない。色や形の断片をふわっと思い浮かべる程度で十分。

・感情が強く動く題材は避ける
仕事や人間関係、ニュースなどは思考が再燃しやすいので外す。

・同じ出発語は続けて使わない
毎回ことなる言葉にしてマンネリを避ける。

■例
出発語「すいみん」
す:すいか、すなのつぶ、スリッパ
い:いちご、いす、いわ
み:みかづき、みずたまり、みどり
ん:んー(スキップして次の語へ)
新しい語へ切り替え「そら」→ そ:そば、そり、そよかぜ… のように続けます。

■ポイント
・関連のない言葉やイメージを短く並べ、論理的思考をオフにして入眠を促す方法
・出発語を決める→頭文字で単語を並べる→出にくくなったら次の文字・次の語へ
・評価しない、短く区切る、感情が動く題材は避ける
・頭文字/カテゴリー/場面など自分に合う型を選ぶ。毎回出発語は変える
・10~15分で眠気が来なければいったん離床し、暗めの環境で単調な行動→眠気とともに再入床