仕事の後半、理由の分からない焦りや不安がじわっと強まることはありませんか。ここで踏ん張ろうと気合で押し切るほど、集中は途切れ、夜の寝つきも悪化しがちです。そこで提案したいのが、体・思考・対人を順に整える「回復の三点セット」。短時間で流れを立て直し、うつや適応障害の悪化、睡眠リズムの崩れを予防します。
第一は「体」。姿勢を正し、1〜2分のリズム運動(かかとの上下・階段1往復・首肩まわし)を行います。一定のリズム刺激は気分の底上げに役立ち、午後のだるさや不安感をなだらかに落ち着かせます。仕上げに日光または窓際の明るさを2分浴び、深呼吸をゆっくり5回。体から整えると、考え方に余裕が生まれます。
第二は「思考」。紙やメモアプリに、いま気になっている事柄を「行動」か「観察」に分けて3行だけ書き出します。行動=自分で動かせるもの(“上司に確認メール”“見積の再計算”)。観察=自分では動かせないもの(“天候”“相手の反応”)。そして行動の先頭に“最小の次の一手”を一つだけ決め、3分で着手。観察に分類されたものは今日はいったん手放します。これで頭の中の混線が解け、ドーパミン過剰な「空回り」と、不安の反芻の両方を抑えられます。
第三は「対人」。午後のどこかで60秒だけ、誰かに短い感謝や労いの言葉を伝えるか、挨拶を丁寧に返します。「丁寧なやり取り」は孤立感を薄め、帰宅後の緊張も下がります。直接が難しければ、メッセージでも十分。人間関係の小さな往復は、夜の入眠にも良い影響を残します。
この三点セットは、休職前の“崩れ始め”にも、復職直後の“頑張り過ぎそうな日”にも有効です。ポイントは完璧を目指さないこと。1つでもできたら合格にして続けます。続けやすさが、最終的にストレス耐性を高め、不安の波をならしていきます。
一人で整えきれない時は、専門家と一緒に作戦を立てるのが近道です。