休職や退職の判断は、体調と生活の土台を守るための戦略です。ポイントは「頑張る」を手放し、土台づくりを先に整えること。体調が揺れやすい時期は、成果よりもリズムを優先しましょう。
まず、1日の骨格を作ります。起床・光・食事・動く・休むの5点を、同じ順番で淡々と繰り返すことが回復の加速装置になります。朝はカーテンを開けて3分間の深呼吸。顔を洗い、温かい飲み物で胃腸を起こし、窓際で自然光を浴びます。次に、家の中でできる軽い運動を5分。スクワット10回×2セット、腕を回す、ふくらはぎを伸ばす。これで血流と集中のスイッチが入ります。
午後は「小さな完了」を積み上げます。洗濯物を畳む、メールを一通だけ返す、請求書を封筒に入れる。所要5〜10分の用事を3つ選び、終えたらチェックマークを付ける。達成の手応えは、気分の波を整える良い薬です。夜はブルーライトを弱め、寝床に入る時刻を一定に。眠れない日は「眠ろう」と力まず、照明を落として静かな音声を流し、呼吸に注意を向け続けます。
復職の準備は「距離・時間・社会刺激」を段階的に増やすのがコツです。第1段階は「自宅—最寄り駅—自宅」を歩く。第2段階は通勤時間の半分だけ電車に乗り、途中で折り返す。第3段階は職場近辺まで行き、カフェで30分だけパソコンを開く。週単位で負荷を上げ、体調記録に睡眠・気分・疲労感・達成度をメモ。無理が溜まる前に翌日の負荷を調整します。
不安の波が来たら、①今の感情に短い名前を付ける(例:もやもや、ざわざわ)、②胸・肩・腹のどこに出ているかを触って確かめる、③波に乗る行動をひとつ選ぶ(白湯を飲む、椅子から立つ、5分だけ歩く)。思考を止めるのではなく、体に寄り添ってやり過ごすのがコツです。また、スマホは通知を必要最小限にして、ホーム画面の1枚目からSNSを外すだけで気疲れが減ります。夜の充電は寝室の外に置くと、入眠の質が上がります。
最後に、感謝と記録。1日1行で良いので「ありがたかった出来事」を書くと、注意が問題から資源へ向き直ります。回復は直線ではありません。うまくいかない日こそ、設計図どおりに“ゆるく”戻る。それが明日の自分を守ります。