仕事の負荷が続くと、気づかぬうちにストレスの閾値が下がり、集中が切れやすくなります。うつ、不安、適応障害へと傾く前に、毎日を少しずつ整える“回復ループ”を回しましょう。ポイントは、体のリズムを先に整え、思考のクセを後から整える順番です。これは睡眠や自律神経、セロトニン・ドーパミンといった神経伝達の働きに合致しています。
朝は起きたらまずカーテンを開け、ベランダや玄関先で自然光を浴びます。目に入る光が体内時計をリセットし、夜の眠気ホルモンが予定通りに出る下地ができます。次に、呼吸が弾むくらいの速さで15分歩きます。リズム運動はセロトニン系の活性を助け、日中の不安感やイライラの波を小さくします。歩くのが難しければ、咀嚼回数を意識する、階段を使うなどでもOKです。
通勤・在宅いずれでも、午前中のうちに「今日やる3つ」を紙に書き、最初の1つを5分だけ着手。手を動かすとドーパミンの“やる気の着火”が起き、タスク回避の悪循環を断ち切れます。午後はコーヒーを控え、ぬるめの白湯で小休止。夕方以降は強い光と長時間の画面作業を減らし、入浴は就寝の2時間前までに。睡眠の質は翌日のメンタルの土台です。寝床では「眠れないなら一旦出る」が鉄則。短い読書やストレッチで再挑戦しましょう。
思考面では、「最悪の想像→行動で検証」に切り替える練習を。たとえば「復職してもまた崩れるかも」と浮かんだら、翌日の朝光・歩行・5分着手を実行し、その感情の強さが10→いくつに下がるかを記録します。感情は事実ではなく“今の体調と文脈に影響される仮説”と捉えるのがコツ。できたことは小さくても言語化し、1日の終わりに「ありがとうメモ」を3行。人間関係の軋みがある時こそ、相手・自分・環境のいずれか1つを肯定する言葉を残しておくと、翌日の選択が軽くなります。
休職中は週2回以上の受診やカウンセリングで経過を見える化し、リズムの安定→活動量の拡張→就業時間の試行と段階を踏むのが安全です。復職前2週間は、起床・就寝・通勤時間帯を勤務時刻に合わせて試運転。職場とは「配慮事項を1枚」にまとめ、上司・産業保健と共有すると安心です。