「朝がつらい」「集中がもたない」「会社で壊れそう」。そんなサインは、からだと心のリズムが崩れた合図です。休職や復職を考える時期こそ、リズムの再設計が要です。まずは“今日からできる最小の一手”を決めましょう。例えば、起床後30分以内に外に出て日光を浴びる、5分だけデスクを整える。小さな行動は側坐核を刺激し、ドーパミンの「始動スイッチ」が入り、集中が戻りやすくなります。うつ・不安・適応障害の回復は「できた」を積み上げるプロセスです。
睡眠は土台です。起床時刻を固定し、朝日と朝食で体内時計をそろえ、夜は就寝90分前に入浴・照明を落として緩やかな下降線を描く。ベッドではスマホや仕事を離れ、“寝るだけの場所”にする。日中は軽い有酸素運動でセロトニンの巡りを促し、午後遅いカフェインと昼寝30分超を避ける。こうした積み重ねが、深い睡眠と気分の安定を同時に育てます。睡眠が整うと、復職後の集中、イライラ耐性、ミスの減少にもつながります。
休職中は「治す」と「戻す」を並行で。前半は症状の安定化に専念し、後半は就業時間帯に合わせた生活練習へ移行。朝型のリズム、通勤相当の歩行、業務を模したタスクのリハーサルを行います。主治医・産業医・会社と連携し、業務量・責任範囲・残業の有無を段階的に調整する「ステップ復職」を計画に組み込みましょう。職場には「いつ・どの業務を・どの水準で・どの支援で」行うかを具体化した配慮事項を提示します。過剰な自己責任感や完璧主義は再燃の火種。合言葉は「70%で合格」「助けを借りる設計が実力」。
不安や緊張に圧されると、人との関わりが負担になります。ここで効くのがコミュニケーションの基本です。伝えるときは「事実→感情→要望」の順に短く区切る。聞くときは、相手の言葉を要約して返すだけで信頼が生まれます。雑談は“共通点・質問・称賛”の三点セットを意識して、無理に盛り上げず、相手のペースに寄り添う。これだけで、職場の摩擦が減り、孤立の悪循環を断てます。カウンセリングを併用すれば、思考のクセや対人不安への対処も早まります。
再発予防には、週単位のセルフチェックを。睡眠時間、食欲、楽しさ、集中、イライラ、飲酒量、体のこわばりを10点満点で記録し、合計点の悪化が続けば早めに受診を。薬は「土台を支える杖」。焦ってやめず、主治医と計画的に微調整しましょう。サプリや自己流の断薬は禁物です。