心のクリニック 医療コラム
2025年10月22日
働くあなたのメンタルを守る“再起動”習慣

仕事の負荷が続くと、集中力の低下や寝つきの悪さ、理由のないイライラが重なり、「このままでは壊れそう」と感じることがあります。これは適応障害やうつ、不安症の入り口であり、早めの立て直しが回復の近道です。今日は休職と復職を視野に入れたセルフケアの柱をまとめます。

第一は睡眠の立て直し。起床時刻を一定にし、朝の光を浴びることが体内時計の主電源です。日中は軽い有酸素運動で体を温め、就床前90分の入浴やスマホの強い光を避けることで、メラトニンとセロトニンのリズムが整います。寝酒や長い昼寝は逆効果です。

第二はストレスの「言語化」。心拍が上がった場面や相手、身体感覚を短文で書き出すだけでも、脳の警戒モードが鎮まり、過度のドーパミン追求(完璧主義・通知依存)から距離が取れます。週1回のカウンセリングで客観視を加えると効果が持続します。「事実・解釈・行動」に分けるのがコツです。

第三は人間関係のミニスキル。①結論→理由→依頼の順で簡潔に伝える、②相手の言葉を要約して返す、③お願いは選択肢で提示。この3点で「伝え方・聞き方・雑談力」は十分に機能します。できたことは小さくても即メモし、自分を責める独り言は事実ベースに書き換えます。

休職が必要な場合は、主治医と会社の産業医・人事と連携し、目標を「症状の消失」ではなく「生活機能の再獲得」に置きます。復職準備では、①起床・通勤時間に合わせた生活記録、②週150分の運動、③通勤訓練と段階復帰(短時間勤務→通常勤務)を計画。横浜・武蔵小杉エリアで通院しながら進める方も多いです。

食事は朝にタンパク質と食物繊維を。腸内環境が整うと昼の眠気が減り、夕方のだるさが軽くなります。アルコールとエナジードリンクの併用は避け、週2回の魚、こまめな水分で頭痛を予防。感謝メモを一日3つ書くと、注意が「できていない所」から「できている所」へ移り、うつ・不安の悪循環が和らぎます。

手続き面では、診断書や傷病手当金の申請、主治医意見書の作成、産業医面談の記録など「見える化」が鍵です。休業中は週次で生活記録表を共有し、復職判定会議では業務負荷・通勤時間・睡眠状況を具体的に提示。ストレスチェックの結果や既往歴も、本人の同意のもと必要範囲で伝えましょう。再燃のサイン(寝つき悪化、遅刻増加、作業ミス)をチームで把握しておくと安心です。

なお、再開後3か月は「頑張り過ぎ防止期間」。独りで抱えず、早めに繋がるのが回復の最短ルートです。