心のクリニック 医療コラム
2025年9月14日
休職中の過ごし方ロードマップ

休職は“何もしない期間”ではありません。回復は①急性期、②回復期、③復職準備期の三段階で考えると迷いが減ります。

急性期(~数週間)は刺激を減らし、睡眠と安全の確保を最優先。スマホ通知は厳選し、ニュースの見過ぎを避け、入眠前90分は画面を手放します。食事は「朝だけでも整える」が合言葉。たんぱく質と水分を意識し、午前中に5~15分の散歩で体内時計を整えましょう。

回復期は生活リズムの再構築。毎日の起床・就寝・食事・散歩・家事などを時間割に落とし込み、日中の活動量を少しずつ増やします。天候が悪い日は「在宅ラジオ体操+片付け15分」など代替案を事前に用意。記録はアプリや紙でOK、「できたこと」に丸を付けて自己効力感を育てましょう。

復職準備期は“働く練習”。模擬通勤、図書館やコワーキングでの作業、主治医の許可が出ればリワーク等のプログラムも有効です。週単位で負荷を上げ、疲労の残り方・集中の持続・対人ストレスの再燃サインを評価表に記入します。

家族や職場と連絡頻度を合意し、産業医面談では「現在の活動量」「勤務で再現されそうなストレス」「必要な配慮(例:残業なし、静かな席)」を具体的に共有。段階を飛ばさないことが、再発予防への最短ルートです。

落とし穴は「体調が良い日に無理をして翌日寝込む」パターン。1日の上限を“疲労が残らないライン”に設定し、好調な日こそ余力を残すのがコツです。逆に不調日は、行動を完全にゼロにはせず、最低ライン(歯磨き・シャワー・外の空気を吸う)を死守。小さな規則性が調子の波をならします。

1日の目安:起床7時→朝散歩→朝食→午前は軽作業30~60分→昼食→短い昼寝(20分以内)→午後は家事や書類整理→夕方は入浴→就寝前はリラックス。カフェインは午後は控えめ、アルコールで眠ろうとしない、が鉄則です。

不安が強いときは“救急箱”を。深呼吸、冷タオル、安心できる香り、支援者リスト、受診先のメモを一袋に。動悸や不眠が続く、自己否定が強まる、希死念慮が浮かぶ等のサインが出たら、自己判断で負荷を上げないで医療へ相談を。

週単位でもリズム管理を。金曜に頑張り過ぎて月曜に崩れる“週末落差”を避けるため、金曜はあえて軽めに設定。日曜夕方に「翌週の仮予定」を5行で作り、月水金に見直します。計画は“できなかった反省”ではなく、“できた調整”を評価しましょう。