心のクリニック 医療コラム
2025年9月25日
休職を“立て直しの時間”に変えるコツ

心が疲れたときの休職は、敗北ではなく「立て直しの時間」です。まず押さえたいのは、①体調の土台づくり(睡眠・食事・運動・リズム)、②不安や気分の波への対処、③職場とのコミュニケーション設計、の三本柱。順番をつけて小さく実行すると、回復は早まります。

最初の一週間は“整える”だけに集中。起床・就寝・朝光・朝食を同じ時間にし、昼寝は20分以内。スマホは寝る1時間前に手放す。気分が沈む日は「できたことメモ」を3行で良いので書き出し、自己否定の連鎖を断ち切ります。体力が落ちている時期は、静かな散歩やストレッチでも十分。呼吸は“ゆっくり長く吐く”が合図です。

二週目以降は“考え方のクセ”を整える段階へ。「全部ダメだ」「絶対失敗する」といった極端な言葉を見つけたら、根拠・反証・現実的な選択肢の三点セットで見直します。感情は事実ではありません。事実と解釈を分けるほど、回復のハンドルは自分に戻ってきます。

職場との連絡は“短く・定期的に・約束を守る”が原則。現状・主治医の方針・次回報告日を簡潔に共有しましょう。復職準備が近づいたら、段階的な業務量・通勤練習・負荷の上げ下げの基準を、会社と医療側で擦り合わせておくと安心です。復職後の三か月は“慣らし期間”。成果より「安定して通えること」を成功指標にしてください。

最後に、自分を助ける言葉を一つ決めておきましょう。「今は回復の途中」「小さな前進で十分」——この一言が、波の大きい日を越える力になります。ひとりで抱え込まず、医療やカウンセリングの専門家と二人三脚で進めるのが近道です。