忙しさの波に飲まれると、心身の限界サインを見落としがちです。最初に整えたいのは“時間の境界”。1日の予定に、意図的な余白(移動10分、切替5分、昼食20分)を先に予約し、会議は50分で切るなど“終わりの時刻”を決めます。通知はまとめて受け取る設定にし、深夜・早朝のメッセージには原則反応しないルールをチームで共有。自分・相手・仕事を同時に尊重するアサーティブな伝え方(依頼・断り・提案)を練習しましょう。
集中と回復の“短いサイクル”も効果的です。45〜50分の集中+5〜10分のマイクロブレイクで、姿勢を変える、水分を摂る、窓の外を見る、軽く歩く。数分でも自律神経の切替が起き、作業効率と気分の両方が保たれます。タスクは「次の具体的な1アクション」に分解し、完了の定義を明確に。終業前の10分で翌日の3タスクを決め、頭の“開きっぱなし”を防ぎます。
人間関係の境界線は、役割と期待を明文化することから。依頼を受ける際は、目的・締切・品質・リソースを確認し、引き受けられない時は代替案や時期を提案。「いますぐは難しいですが、◯日午前なら対応可能です」「この条件なら対応できます」など、具体性が信頼を生みます。“Yes, and later”の言い回しは角が立ちにくく便利です。
在宅勤務では、開始と終了の“儀式”を作りましょう。朝は着替えと短い散歩でオンに切替え、夕方は机を片づけ、明日の3タスクを書いて電源を落とす。家庭の役割と仕事の境界が曖昧になりやすいので、家族とも“応答しない時間帯”を共有します。週1回のリセットタイムを設け、To-Don’t List(やらないことリスト)を見直すのも有効です。
事業場の労働者数が50人以上の場合、年1回のストレスチェック実施が義務づけられています。結果を個人のケアと職場環境の改善につなげることが大切です。高ストレスのサインが出たら、産業医や人事と連携して働き方を調整し、必要に応じて医療へ。セルフケアで難しいと感じたら早めに相談してください。
心理的安全性は一朝一夕に生まれません。定期的な1on1で期待と役割を擦り合わせ、小さな配慮と言語化を積み重ねることが、働きやすさと成果の両立につながります。