心のクリニック 医療コラム
2025年9月24日
仕事が重く感じる日に——言葉・感謝・睡眠の“小さな仕組み”

忙しさが続くと、気分・集中・睡眠は同時に崩れがちです。立て直しの第一歩は「状態の見える化」。1分だけノートを開き、いま湧いている感情を単語で三つ書き出してみましょう。怒り・不安・疲れ——ただ名前を付けるだけで、心の警報音は少し静まります。手元にノートがなければ、スマホのメモやメール下書きでも構いません。ついでに強さを10点満点で評価し、肩のこわばりなど身体のサインも一言添えると、経過が読み取りやすくなります。

次は夜の回復力を守る設計です。午後遅いカフェインは控え、就寝前は光と情報の刺激を落とし、起床と就寝の時刻をなるべくそろえる。特にカフェインは、寝る6時間前でも総睡眠時間を短くする報告があり、何気ない一杯が翌日の集中を奪うことがあります。ベッドは「眠る・休む」目的だけに使い、眠くなってから床に就くのがコツです。画面オフの合図として、ぬるめの入浴や温かいノンカフェイン飲料、ゆったりした呼吸を一つ選んで固定しましょう。

地力を底上げするには「1日三つの感謝」を短く書くのがおすすめです。小さな出来事でも十分。感謝を言語化する習慣は、気分や睡眠の改善と関連が示され、ストレス対処の“筋力”を育てます。昼休みに屋外で数分だけ自然光を浴びたり、帰宅後に軽いストレッチをするなど、無理のない行動と組み合わせると続けやすくなります。

もし不調が特定の出来事や人間関係に結びつき、数週間続くなら早めの相談を。短期間で始まり、仕事や家庭の機能低下を伴う状態には、専門的に整理できる概念があります。調子が戻ってきたら、負荷や時間帯を段階的に戻す方法が有効です。医療・産業保健・職場が役割を分担して支える公的な枠組みも整っています。ひとりで抱え込む必要はありません。

今日の行動プラン:①1分言語化②午後のカフェインを控える③寝る前15分は照明ダウンと画面オフ④「今日の三つの感謝」⑤昼に少し外へ出る⑥困ったら専門家へ。小さな仕組みの積み重ねが、再び前に進む力になります。