「不安が強いと何も手につかない」「夜になるほど落ち込む」。こうした波は、脳の警戒システムが過剰に働き、行動の着火剤が足りない時に起こります。コツは、心だけでなく体のリズムから整えること。以下の5ステップは、忙しい方でも続けやすい“気分設計”の土台です。
①朝のリセット:起床後1時間以内に屋外へ。数分でも自然光を浴びると体内時計が進み、夜の眠気が整います。可能なら早歩きで5〜10分。交感神経がやさしく立ち上がり、日中の不安過敏を抑える準備になります。
②タンパク質の“朝一口”:卵、魚、納豆、ヨーグルトなどを一品。朝のたんぱく質は神経伝達の材料補給になり、集中の立ち上がりが滑らかに。カフェインは朝食後に回すと、焦燥感の増幅を避けやすいです。コンビニなら、無糖ヨーグルト+ゆで卵、豆乳などでもOK。
③2分の着火タスク:机を片づけ、メールを1通だけ返す、書類に日付を書く—とにかく2分で終わる最初の行動を決めます。「やる気→行動」ではなく「行動→やる気」。小さな達成が“次の一歩”の燃料になります。午後の中だるみには、立ち上がって給水、軽いストレッチ、窓際へ移動の“再着火”が効きます。
④不安メモの“時間指定”:1日のうち10分だけ不安を書き出す時間を予約し、それ以外の時間に湧いた心配はメモに退避。「今は保留、○時に向き合う」と決めるだけで、勤務中の集中散逸を防げます。紙でもスマホでもOK。メモは具体化(誰・いつ・何を)まで書き、解決行動が1つでも浮かべば翌日の最初のタスクに。
⑤夜のクールダウン:就寝90分前にぬるめの入浴、照明を落として画面の光を減らし、ベッドでは思考作業をしない。寝床は“考える場所”ではなく“眠る場所”に。眠れない時は一度ベッドを出て静かな行為に切り替えます。寝酒は眠りを浅くし、夜間覚醒を増やすため控えめに。
+週末のミニ棚卸し:先週できたことを3つだけ書き出し、次週の“最小の一歩”を1つ決めます。完璧な計画よりも、回せる小さな歯車を増やすことが、気分の安定と自己効力感につながります。
補助テクニックとして、スマホの通知を“要件のみ”に絞る、就寝1時間前は画面の明るさを下げる、午後に15分の屋外散歩で体温と気分を持ち上げる、といった環境調整も有効です。さらに、感情の名前を声に出して短く付箋に書く「ラベリング」は、感情と自分を切り分ける手助けになります。「不安」「疲労」「焦り」と言語化できた時点で、対処の選択肢が見えやすくなります。
これらは医療の代替ではありませんが、気分の波と眠りを“体側”から整える有効な始点です。続けるほど、翌日の不安が軽く、集中が戻る感覚が積み上がります。うまくいかない日の自分を責めず、明日の実験としてやり直せば十分です。もし食欲低下、強い焦り、休職や復職に関わる悩みが続く場合は、早めに専門家へ。必要なら産業医や職場との連携も検討しましょう。