仕事のパフォーマンスが落ちる、遅刻やミスが増える、人と話すのがつらい——そんな変化は、うつや適応障害の前ぶれであることがあります。悪化する前に立ち止まり、体調と働き方を整えることは、将来のキャリアを守るための「戦略」です。必要なら休職は負けではなく、回復のための一手。復職までの流れは①休息と安全確保②生活リズムの再構築③役割のリハビリ(通勤訓練・短時間勤務・段階的な業務)という三段階で考えると道筋が見えます。
今日からできるセルフケアは「朝の3本柱:光・呼吸・小タスク」。第一に、起床後30分以内の外光(天候不問)で体内時計をリセットし、夜の眠気を作ります。第二に、1〜2分のゆっくり呼吸(4秒吸って6秒吐く)で自律神経を切り替え、不安の過活動を落ち着かせます。第三に、「いちばん小さい仕事」を決めて着手(メール1通の下書き、机を30cmだけ片づける等)。達成の積み重ねが自己効力感を回復させ、ドーパミン系の働きを後押しします。
休職を検討する際は、①医師の診断書②会社の相談窓口(上長・人事・産業医)③必要に応じた社会保障(傷病手当金など)を順番に確認しましょう。復職前は「配慮事項リスト」を作ります。例:勤務時間は段階的に、深夜対応は当面なし、会議は見学から、集中業務は午前に、評価は月次で振り返る——など、具体的に書くことが肝心です。「やらないこと」も明記すると、再燃の予防線になります。
毎日のメンタル・チューニングには、感謝を1行書く、5分だけ体を動かす、スマホの通知を3つ減らす、といった“続けられる工夫”が効きます。SNSやニュースの過剰摂取は不安を増幅させるため、就寝前は情報ダイエットを。週のどこかで自然に触れる時間を取り、五感からの回復時間を意識してください。
思考がぐるぐるするときは、ノートに「事実/解釈/次の一歩」を1行ずつ書き分けて整理しましょう。感情は良し悪しで裁かず、「今は不安10/10」「怒り6/10」と数値化して眺めると距離が取れます。対人場面では、話し方は「結論→理由→お願い」、聴き方は「要約+感情に名前」。衝突を避けながら、必要なことを丁寧に伝えられます。
睡眠は治療の土台です。就寝2時間前から照明と画面を落とし、カフェイン・アルコール・喫煙は寝る前に避けます。寝つけない時は20分でいったん布団を出て、暗めの環境で単調な行為へ切り替えを。夕方以降の長い昼寝は控えめに。食事は腹八分、適度な運動は週の習慣にして、腸の調子も整えましょう。
不安や抑うつが長引く、仕事や生活に差し支える場合は、医療の支援を早めに。薬物療法とカウンセリングを組み合わせ、会社の制度と連携しながら「無理なく続けられる復職計画」を作成します。認知行動療法や問題解決アプローチ、対人スキルトレーニングなど、あなたの状況に合う方法を一緒に選び、実行可能な宿題に分解して伴走します。