心のクリニック 医療コラム
2025年10月22日
【朝のメンタル設計図】セロトニンを起こし、ドーパミンを暴れさせない習慣

朝の10〜30分をどう使うかで、その日のストレス耐性と集中力は大きく変わります。うつ・不安・適応障害で休職中の方や、復職を目指す方ほど「最初の一歩」を整えることが回復の土台になります。ポイントは、セロトニンで土台を安定させ、ドーパミンを“必要な場面だけ”使えるようにすることです。

①光を浴びる
起床直後にカーテンを開け、ベランダや窓際で自然光を2〜5分。曇りでもOK。外に出られる日は新横浜周辺を軽く散歩。網膜への光刺激は体内時計を前進させ、睡眠-覚醒リズムの乱れを整えます。夜の寝つきも改善しやすく、日中の不安感の振れ幅が減ります。

②リズム運動
歯磨きや階段昇降、咀嚼の回数を意識するだけでもリズム運動。可能なら背筋を伸ばして5〜10分の早歩き。一定のリズム刺激はセロトニン分泌を助け、イライラの衝動ブレーキになります。

③たんぱく質と水分
朝食で卵や納豆、ヨーグルト、味噌汁などを少しでも。トリプトファンと鉄・ビタミンB群はセロトニンづくりの材料。カフェインは合計200mg/日を目安に、午前中に分けて。

④小さな達成を刻む
メール1通返信、デスクを拭く、通勤の一駅手前で降りて歩く。達成を可視化し、ドーパミンの“適量のごほうび”だけを使います。SNSの無限スクロールや深夜ゲームはドーパミンの乱高下を招き、睡眠の質を落とします。

⑤夕方以降の整え
就寝90分前の入浴(ぬるめ、15分)と照明を少し落とす工夫で体温とメラトニンの流れが整い、翌朝が起きやすくなります。アルコールは寝つきを“速く見せる”だけで、睡眠の深さを削ります。

◎通勤・復職準備に
復職前は「通勤訓練」を段階的に。最初は人の少ない時間帯に駅まで往復、次に職場近くまで行って引き返す、最後に半日滞在…とハードルを1つずつ。生活記録表で起床・就寝・食事・運動・気分の10点評価をつけ、週ごとに見直すと客観視が進みます。必要に応じて主治医の診断書や産業医面談と連携し、無理のない就業配慮(時短、在宅併用、業務の棚卸し)を整えましょう。

◎不安が強いとき
呼吸を4秒吸って6秒で吐く、足裏感覚に注意を向ける、マインドフルネス1分。短時間でも交感神経の過活動を鎮めます。認知行動療法(CBT)では「思考のメモ」を使って事実と解釈を分け、ストレスの連鎖を断ち切ります。スマホのメモでも十分。積み重ねが自信を回復させ、再発予防にも役立ちます。

症状が軽いうちから相談するほど回復は早まります。カウンセリングの併用も検討しましょう。