「朝、体が鉛のよう」「日曜夕方の不安が強い」「眠っても回復しない」。そんなサインは、心と体のブレーキランプです。うつや不安、適応障害の前ぶれを見逃さず、休職と復職を“点”ではなく“線”で捉えると、仕事人生はむしろ長持ちします。今日は、精神科・心療内科の視点から、横浜・日吉エリアで働く方にも実践しやすい設計図をまとめます。
第一の土台は睡眠。起床時刻を一定にし、朝の光を浴び、寝室を静か・暗め・涼しめに整えるだけで、体内時計は整い、日中の集中と夜の入眠が連動します。昼寝は20分以内、就寝前のスマホは腕一本ぶん離す。これだけでもセロトニンの働きが整い、ストレス耐性が上がります。週末に寝だめをせず、平日と同じリズムをキープすることが、月曜の不調を防ぐ近道です。
第二の土台はストレス対策。大きな決意より“小さな行動”が効きます。①姿勢を正して深く吐く、②5分だけ歩く、③今日できた1つを手帳に書く――この三点で、ドーパミンの報酬回路が“前に進めた感覚”を学習します。タスクは「3割完了でOK」の基準に下げ、完璧主義のギアを一段落とす。できない日は“次の一歩を書くだけ”でも十分です。
第三の土台は伝え方。上司や家族には「私は今、朝の準備に30分余計にかかっています。今週は午前の会議を外して、午後からの資料作りに集中したいです」と“事実+希望”で短く。感情や責任追及ではなく、合意の選択肢を提示すると、関係が摩耗しません。メモで先に言語化しておくと、衝動的な反応を防げます。
休職を考える目安は、遅刻・欠勤の増加、著しい集中低下、食欲や睡眠の乱れが続くとき。独断で休むのではなく、早めに受診し、診断書や就業配慮の内容を医師と整理しましょう。会社・産業保健との連携は“敵対”ではなく“調整”。復職は①生活リズムの安定→②通勤練習→③短時間・軽作業→④段階的な業務拡大、の順で。評価は「出社率」「疲労の残り方」「再燃サインへの対処」に置き、焦らない計画を。
最後に、回復を底上げする“感謝トレーニング”。寝る前に「今日ありがたかった3つ」を一行ずつ。人でも物でも自然でもOKです。脳は探す対象に光を当てます。小さな喜びを拾う癖が、うつ・不安の再発予防につながります。迷ったら、「睡眠・小さな行動・短く伝える」の三点へ戻れば大丈夫です。
一人で抱えず、専門家の支援も上手に併用しましょう。