心のクリニック 医療コラム
2025年10月4日
「言葉にして整える」――感情の暴れ馬をならす3つの書き方

仕事や家庭で心がザワつくとき、頭の中だけで整理しようとして空回り…そんな経験はありませんか。カギは「言葉にして外に出す」こと。感情を短い言葉で表すだけでも、脳の警報装置が落ち着くことが示されています。ここでは、忙しい方でも続けやすい“3つの書き方”をご紹介します。

①感情ラベリング
今の気分を一語で記すだけ。「不安」「苛立ち」「罪悪感」など、名付けて終わり。分析も反省も不要です。強い感情ほど、まずは“名付けて距離を取る”のが先決。外来の待ち時間や通勤中、スマホのメモで十分です。

②三行ログ
1)今日の出来事、2)その時の感情、3)小さな学び/発見を各一行。長文は不要。「上司と面談/緊張/準備しておいて良かった」のように、事実と感情と意味づけを切り分ける習慣が、反すう思考のループを弱めます。

③“次の一歩”メモ
悩みは行き詰まりのサイン。最後に「明朝9時に10分だけ資料の見出しを作る」など、行動を10分単位で具体化しましょう。大きな決断ではなく“小さなスイッチ”で十分。行動が感情を引っ張ってくれます。

続けるコツは、(A)時間を固定(就寝前か朝)、(B)場所を決める(デスク端や通勤電車)、(C)道具を一つに絞る(紙ノートまたはスマホ)。溜め書きはせず、その日のうちに“軽く・短く・雑に”。目的は上手に書くことではなく、心の圧力を逃がし、視野を一段広げることです。

心がいっぱいいっぱいのときは、無理に前向きな言葉で上書きしなくてOK。まずは「しんどい」「不安」と等身大の言葉で十分。その上で、三行ログと“次の一歩”を添える――この小さな型を1~2週間続けるだけでも、気分の波の捉え方が変わってきます。必要に応じて専門家のサポートも併用しましょう。