心のクリニック 医療コラム
2025年11月27日
「やめることリスト」で心を軽くするコツ

ストレスがたまってくると、「もっと頑張らなきゃ」「新しい習慣を身につけなきゃ」と、自分にタスクを追加してしまいがちです。でも、心とからだのエネルギーは有限です。メンタルヘルスを守るうえでは、「何をやるか」だけでなく「何をやめるか」を決めることが、とても大切です。

まずおすすめしたいのは、1日の中で「なんとなく続けているけれど、本当はいらない行動」を洗い出すことです。例えば、眠る直前までのスマホチェック、気乗りしない飲み会への参加、頼まれてつい引き受けてしまう雑用など。本来の目標や大事にしたい価値と関係が薄い行動は、知らないあいだに睡眠や休息の質を下げ、集中力や気力を奪っていきます。

ここで役に立つのが、「思考のクセ」に気づく視点です。「断ったら嫌われるに違いない」「全部やらなければ自分の価値がなくなる」といった極端な考え方があると、やめた方がよい行動でも、手放すことが怖くなります。そんな時は、「本当にいつもそうだろうか?」「大切な友人が同じことを言っていたら、何と声をかけるだろう」と、一歩引いた位置から考え直してみましょう。現実的な考え方を選び直すことは、ストレスを和らげる認知行動療法の大切なステップです。

紙やメモアプリを使い、「やめたい行動」を3〜5個だけリストアップしてみましょう。このとき、「完璧にゼロにする」のではなく、「頻度を減らす」「時間を区切る」といった現実的な目標にするのがポイントです。例えば「寝る30分前からスマホは充電スペースに置く」「残業のお願いは週1回までにする」など、具体的なルールにすると、脳が判断しやすくなります。

作成したやめることリストは、手帳やスマホのホーム画面など目に入りやすい場所に置いておきましょう。週に一度「続けられたこと」だけをチェックし、小さな達成感を意識的に味わうことで、無理なく習慣化しやすくなります。

同時に、「やめること」を決めたら、そのぶん生まれた時間やエネルギーをどこに使いたいかも考えてみましょう。短い散歩でからだを動かす、本を読む、ゆっくりお風呂に入る、家族との会話を増やすなど、自分のメンタルヘルスを整える行動を1つ選んでおくと、「やめる」が単なる我慢ではなく、「自分を大切にする選択」に変わります。

さらに、感情面にも目を向けてみてください。イライラや不安、落ち込みが強いときほど、「もっと頑張らないと」と自分を追い込んでしまいがちです。そんなときは、深呼吸を数回行って体の緊張をゆるめ、「今の私はかなり疲れている」「よくここまで踏ん張ってきた」と自分に声をかけてみましょう。感情を否定せずに認めることは、レジリエンス(折れにくさ)を高めるうえで、とても重要です。

職場や家庭の事情によっては、「本当はやめたいけれど、すぐには難しい」ことも多いと思います。その場合は、1人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談しながら、少しずつ調整していくことが大切です。「こんなことくらいで」と思わず、今の負荷を言葉にして共有するだけでも、心の負担は軽くなります。