「終わった出来事を何度も思い出してしまう」「先のことを考え続けて止まらない」。こうした状態は、気持ちの弱さではなく、脳が“問題を解こう”として同じテーマに張り付いているサインです。忙しい日々では、帰宅後に一気に考えが噴き出すこともあります。心理学では反すう思考とも呼ばれ、不安や抑うつ、睡眠の質と関係があることが知られています。
反すう思考は「解決」より「停滞」を生みやすい
反すうは、考えるほど答えが近づく感覚がある一方で、実際には情報が増えないまま同じ結論を往復しがちです。疲れているほど“いつもの悩み”に引き寄せられ、頭の中が同じ話題で満席になります。その結果、脳内では警戒モード(交感神経優位)が続き、疲労感や集中力低下につながります。
夜に強まるのは、脳の「空白」が増えるから
日中は予定や刺激で注意が分散しますが、夜は外からの入力が減り、内側の思考が前面に出やすくなります。特に寝床でスマホを眺めると、光刺激と情報刺激で覚醒が保たれ、反すうが長引きやすくなります。
反すうが続くと、感情が“事実”のように見えてくる
同じ考えを繰り返すほど、気分の色が強くなり、「不安=現実の危険」「落ち込み=自分の評価」と結びつきやすくなります。これは性格の問題というより、脳の学習の性質で起こります。反すうの最中は視野が狭くなり、白黒で判断したり、最悪のシナリオを前提にしたりしやすい点も特徴です。