心のクリニック 医療コラム
2026年1月14日
■寝る前の「考えごと渋滞」をほどく――書き出しで睡眠の質を守る

眠れない夜は、脳が「未処理タスク」を抱えたまま
ベッドに入ると不安や反すうが強まるのは、日中は仕事や家事で注意が分散していた思考が、静かな環境で一気に前面化するためです。人の脳は、気になることを“追跡”しておく性質があり、予定・人間関係・体調などの心配が多いほど、頭の中で同じ話題が巡回します。その結果、交感神経が優位になり、眠気が来ていても身体が緊張したままになりがちです。

書き出しは“考えを外に置く”行為
認知行動療法では、考えを言語化して眺めることが、感情との距離を作る手段とされています。寝る前に、気になっていることを短い箇条書きにして紙に置くと、「思い出し続ける」負荷が下がりやすいと言われます。ここで大切なのは「答えを出す」より「棚卸し」。たとえば「心配」「予定」「連絡」など分類して一行ずつ書き、最後に“明日やること”を一つだけ決める、という形でも十分です。マインドフルネスの観点では、頭に浮かぶ内容を評価せずに「いま心配が出ている」とラベルを付けることも、思考の渋滞をほどく助けになります。

うまく眠れない状態が続くとき
不眠は生活習慣だけでなく、うつ・不安・自律神経の乱れ、睡眠リズムの変化などが背景にあることもあります。入眠困難や中途覚醒が続く、日中の眠気や集中低下が強い、気分の落ち込みが長引く場合は、早めに専門家へ相談することで安心材料が増えます。