心のクリニック 医療コラム
2025年7月27日
入眠の儀式を行う

眠る前に、毎晩ほぼ同じ順番で行う短い習慣を用意すると、寝つきが安定しやすくなります。脳は繰り返される行動を「そろそろ眠る合図」と学習し、緊張が和らぎ、入眠までの時間が短くなることが期待できます。ポイントは、神経を刺激しない静かな行為を選ぶことです。興奮を高めやすいドラマやゲーム、SNSの長時間閲覧は避けましょう。

■基本ルール
時間帯をそろえる
就床のおよそ30〜60分前に開始。開始時刻は毎日大きくずらさない。

順番を固定する
同じ順序で同じ手順を繰り返す。迷いを減らすほど効果が出やすい。

刺激を減らす
強い光・大音量・速い情報刺激を避け、静かで単調な活動を選ぶ。

体温の波に合わせる
入浴は就寝90〜120分前に済ませ、儀式の時間帯はぬるめの室温・弱い照明で。

■入眠の儀式の具体例
短め(約15分)
・白湯やノンカフェインの温かい飲み物を少量
・歯磨き
・首肩まわりのストレッチと深呼吸1〜2分
・照明をさらに落として就床

標準(約30分)
・翌日の簡単な支度を3分で済ませる(不安の持ち込みを減らす)
・間接照明に切り替え、静かな音楽や自然音を小さく流す
・軽いストレッチ、ゆっくりした呼吸
・紙の読書を10〜15分(難しすぎない内容)
・就床

じっくり(約45〜60分)
・入浴から90分後を目安に開始
・アロマを微香で1つ(ラベンダーなど。強すぎない)
・軽いヨガやボディスキャン(体の感覚に意識を向ける)
・日記に「良かったことを1つだけ」記す
・就床

■スマホや明るい画面との付き合い方
・就寝の1〜2時間前から、部屋は電球色や間接照明に。
・どうしてもスマホを使う場合は、ナイトモード、明るさを最小限、顔から離す、時間制限を設定。
・通知はおやすみモードへ。充電器は寝室外に置くと、触れる機会が減る。

■よくある困りごとと対策
・明日の仕事の考えごとが止まらない
→ 紙に「明日やることを」書いて引き渡す感覚を作る。終わったら紙を閉じる。

・20分以上眠れない
→ いったんベッドを出て、薄暗い場所で単調な行動(静かな読書、呼吸法)を。眠気が戻ったら再入床。

・夜中に目が覚めた
→ 時刻を見続けない。トイレや水分は短時間で、同じ儀式の一部(ゆっくり呼吸、肩回し)を再現。

・家族や子どもがいて時間が取れない
→ 5〜10分のミニ儀式でもよい。歯磨き→ストレッチ→照明を落とす、の3点固定だけでも効果が出やすい。

・旅行や出張で環境が変わる
→ 自宅の儀式から「持ち運べる要素」を1〜2個選ぶ(香り、音、ストレッチ)。アイマスク・耳栓も携帯。

■ミニ呼吸法(1〜2分でできる)
・鼻から4秒吸う
・2秒止める
・口から6秒吐く
これを4〜6セット。吐く時間を少し長くするのがコツ。

■入眠の儀式の作り方(3ステップ)
目標時間を決める
就床の30〜60分前。長すぎない計画にする。

■行動を3〜5個選ぶ
例:温かい飲み物→歯磨き→ストレッチ→読書→就床。準備が面倒なものは避ける。

■よくある質問
Q. 音楽は流してよいですか?
A. 歌詞が目立たず、音量が一定でゆっくりしたものが向きます。眠ってからは自動停止を。

Q. アロマは必須ですか?
A. 必須ではありません。好みが合えば微香で。強い香りはかえって覚醒につながることがあります。

Q. 寝る前のストレッチはどの程度?
A. 汗ばむほどは不要。首・肩・背中・股関節をゆっくり伸ばし、痛みが出ない範囲で。

■ポイント
・入眠の儀式は、毎晩ほぼ同じ「時間帯・順序・内容」で行う短い習慣
・刺激を減らし、静かで単調な行動を選ぶ。強い光やSNS・ゲームは避ける
・おすすめは、温かい飲み物→歯磨き→ストレッチ・呼吸→短い読書→就床
・スマホはナイトモード、通知オフ、時間制限。充電器は寝室外へ
・20分眠れなければ一度離床し、薄暗い場所で単調な行動。眠気が戻ったら再入床
・続けやすい要素を3〜5個に絞り、1週間ごとに微調整する