心のクリニック 医療コラム
2025年9月27日
朝のリズムが心を守る――「3つの整え」で始める再スタート

心が疲れてくると、集中力が落ちたり、人との会話がぎこちなくなったり、寝ても回復しにくくなります。多くの方が「根性で乗り切る」か「何も手につかない」の両極端になりがちですが、実はその中間にある“日々の整え”が、回復と再発予防の土台になります。今日は、朝のリズムに焦点を当てた「3つの整え」をご紹介します。

第一は「光の整え」。起床後1時間以内にカーテンを開け、ベランダや玄関先で自然光を浴びましょう。目から入る光は体内時計を前に進め、夜の眠気を呼ぶリズムを作ります。天気が悪い日は、室内の照明を少し明るめに。これだけでも昼のだるさが軽くなり、夜更かしの連鎖を断ちやすくなります。

第二は「腸の整え」。朝は常温の水をコップ一杯、次にタンパク質と食物繊維を意識した朝食を。ヨーグルト+果物、卵+全粒パン、味噌汁+納豆など、噛む回数が増える組み合わせがおすすめです。腸が動くと自律神経が安定し、気持ちの浮き沈みが緩やかになります。カフェインは“ご褒美”として午前中に。空腹で大量に摂ると不安感が強まる方もいるため、軽食とセットにしましょう。

第三は「人との整え」。朝のうちに「今日やらないこと」を一つ決め、誰かに短いメッセージを送るか、挨拶を交わします。完璧主義のブレーキと、他者とのつながりのスイッチを同時に入れる工夫です。会話が負担な日は、「ありがとう」「助かったよ」といった一言だけでも構いません。やることリストに“減らす目標”を入れると、達成感が早く得られ、午前中の集中が保ちやすくなります。

調子が崩れはじめたサインは、「寝ても抜けない疲れ」「同じ不安が頭の中を回り続ける」「人と会うのを避けたくなる」の三つが代表的です。2週間以上続く、もしくは仕事や学業・家事が明らかに滞る場合は、無理を重ねるより専門家に早めの相談を。休む・整える・戻るのサイクルを、あなたの体質と生活に合わせて一緒に設計していきましょう。