一日の終わりにぐったりしているのに「何もしていない気がする」——それは決断の渋滞かもしれません。小さな選択の積み重ねは、集中力を目減りさせます。対策は“迷わない仕組み”を先に作ること。第一に、If-Then(もし〜なら、その時は〜する)で行動を自動化。「18時にSlackが鳴ったら、通知を切って退勤準備」「通勤電車に乗ったら、今日の優先3つを書く」など、状況と行動をペアにします。第二に、選択肢の上限を決める。朝の服は2セット、昼食は3パターン、会議の資料は1枚スライドで骨子を共有——“迷う余地”を意図的に削ります。
第三に、習慣化の視点。新しい行動は最初の数週間で自動化が進み、時間とともに効果が滑らかに伸びます。だからこそ“最小の一歩”設計が要。例えば運動なら「靴を玄関に出す→家の周りを3分歩く→週2回10分」に段階化。進みが鈍い日は、トリガー(If)の見直しを。夕方に実行できないなら、朝の別ルーティンに乗せるのが近道です。
さらに、意思決定の“見える化”も効きます。朝いち5分で「書く→決める→捨てる」の3列メモを作り、タスクを並べる。会議の招集は「目的・成果物・担当・所要時間」のテンプレで依頼し、不要な往復を削る。通知は“バッチ処理”が基本。メールとチャットは決めた時刻にまとめて開き、緊急の連絡先だけ例外にします。デジタルの誘惑が強い人は、夜のスマホ置き場を決めて、翌朝まで開かないルールも。
迷ったときの判断基準を三つ持つとブレません。①長期の価値に寄与するか②今週の最重要テーマとかみ合うか③今やる必然があるか——三つのうち二つが×なら、今週はやらない候補に。先送りではなく「意識的な保留」です。週末5分の振り返りで、If-Thenの文言や選択の上限を更新し続ければ、仕組みはあなたに合わせて育っていきます。
仕事と家庭の切り替えにも儀式を。家に着いたら10分だけ片づけ→温かい飲み物→翌朝の服を準備、の固定ルートにすると、脳は自然にオフへ移行します。ToDoは1日3つまでを“完了基準つき”で書き、残りは翌週ボックスへ退避。Yes/Noの返答が必要な依頼には、あらかじめテンプレを用意し、考える時間を節約しましょう。