頼まれごとを断れず疲れ切ってしまう——そんなときは、相手を否定せず自分の大切さも守る「境界線の伝え方」を練習しましょう。基本は四工程。①状況(Describe):事実だけを短く共有。「今週は外来と書類対応が重なっていて」②感情(Express):自分の気持ちを主語「私」で。「私としては時間の余裕がなく不安です」③提案(Specify):代案や条件を具体的に。「来週火曜の午前なら対応できます」④合意(Choose):選択肢を提示し相手の意思も尊重。「他の方法が良ければ教えてください」。ここに「まず感謝」を添えると角が立ちにくくなります。「声をかけていただいて嬉しいです」から始めるだけで印象は大きく変わります。
うまくいかない理由の多くは、①と②を飛ばして急に③だけ伝えること。相手は事情が分からず「拒否された」と受け取りがちです。事実→気持ち→提案→合意の順を崩さないこと、期限・量・優先度のどれを調整したいかを一つに絞ることがコツ。メッセージは短文三行を目安に。「ありがとうございます/今は難しいです/〇日なら可能です」の定型をスマホに保存しておくと、いざという時に迷いません。即答せず「検討してから返事します」と一拍置くルールも、過剰な引き受けを防ぎます。
文面例は三つ。「A案:期限調整型」——『お声がけありがとうございます。今週は手が足りず難しいですが、〇日午前なら対応可能です』。「B案:量の分割型」——『全体は難しいため、資料作成のみならお受けできます』。「C案:紹介・代替型」——『今回は難しいのですが、△さんなら力になれるかもしれません』。相手役にとっても次の一手が分かる言い方が、関係を守る近道です。
それでも圧が強い相手には、社内の相談窓口や上長・産業医に早めに共有を。記録(日時・場所・発言)を残すのも自分を守る大事な備えです。境界線は「わがまま」ではなく、関係を長持ちさせるための整備。気疲れの慢性化を防ぐ第一歩として、今日から「感謝→事実→気持ち→提案→合意」を試してみてください。