心のクリニック 医療コラム
2025年9月18日
24時間で整える睡眠リズム——光・活動・食の並べ替え

寝付きや途中覚醒は“夜だけの問題”ではありません。体内時計は一日の行動すべてで調律されます。ポイントは「朝の光」「日中の活動」「夜の静けさ」の三本柱に、食事とカフェインのタイミングを重ねること。

朝は目覚めから1時間以内に屋外へ。10〜30分、雲の日でも十分です。屋内照明(数百ルクス)に比べ、外光は桁違いに明るく、体内時計を前に進めます。顔に直射は不要。歩きながら空を眺めるだけでOK。朝の軽い筋活動も相乗効果があります。朝食は起床後1時間以内に、たんぱく質と炭水化物を適量。体内時計の“朝”をはっきりさせます。

日中は“眠気の借金”を増やしすぎない設計を。午前に少し負荷の高い作業、午後は集中と回復を交互に。仮眠は15〜20分を目安に、夕方以降は避けます。カフェインは就寝の6〜8時間前で切り上げ、エナジードリンクの多用は控えめに。適度な運動は夕方がベター(寝る直前の激しい運動は覚醒を高めます)。夕方の入浴は就寝1〜2時間前に終え、深部体温が下がる波に乗って眠りに入ります。

夜は“暗さの設計”。就寝2時間前からは強い光と刺激を減らし、画面は明るさを落とすか、音声だけに切り替えるのも手。寝室は静か・涼しめ・暗め(必要ならアイマスク・耳栓)。時計を見て焦る習慣は不眠を強化するため、視界に入らない位置へ。ベッドは「眠る/親密な時間/体調不良の休養」に限定すると、脳が再び“眠る場所”として学習します。

食事は「遅すぎない」も重要。夜遅い大量摂取は消化負担と逆流で中途覚醒の原因に。夕食は就寝の3時間前まで、寝る直前のアルコールで眠気を作る方法は睡眠を浅く分断します。起床時刻はできる限り固定し、どうしても就寝がずれた日は、起きる時刻は守って日中に短い仮眠で調整を。

交代勤務や夜型の方は、朝の強い光を避け、就寝前の光を弱める工夫を。帰宅時はサングラス、寝室は遮光、起床後に徐々に光を取り入れます。週末だけの大幅な寝だめは体内時計を乱すため、起床時刻のブレは1時間以内を目安に。旅行の時差には、到着後の朝の外光と短時間の昼寝、就寝前の強い光回避が助けになります。