仕事や生活の大きな変化に押し潰されそうなとき、ただの疲れでは片づけられない状態があります。たとえば配置転換・人間関係の変化・業務量の急増・家族の介護や別離などの出来事をきっかけに、出来事のことばかり考えて頭が離れない、眠れず集中が続かない、職場でミスが増える——こうした「出来事へのとらわれ」と「うまく適応できない感覚」が続き、日常生活に支障が出ているなら、専門的な評価が役立ちます。
世界の診断基準では、はっきりしたストレッサーに対する反応が中心で、症状は多くの場合1か月以内に始まり、ストレッサーが去れば半年ほどで落ち着くと説明されています。ただし出来事が続く場合は長引くこともあります。「我慢が足りない」ではなく、脳と心の自然な反応です。
セルフチェックの目安
・同じ考えや心配が何度も浮かんで離れない
・寝つきが悪い/途中で目が覚める日が続く
・集中が続かず単純ミスが増えた
・欠勤や早退が増え、業務に支障が出ている
日本の調査でも、仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じる人は8割超。決して珍しいことではありません。だからこそ、早めの初動が大切です。①最初に受診し、睡眠や不安のケアを整える。②上司や人事には「体調不良で当面の配慮が必要」と簡潔に伝える。③刺激と責務を一時的に減らし、生活記録で体調の波を見える化する。④良い日・悪い日の共通点を週1回ふりかえり、小さな調整を重ねる。受診時は、きっかけ・発症時期・勤務時間・ミスの頻度・睡眠状況などをメモして持参すると診療がスムーズです。
周囲への伝え方は「事実→お願い→目安」の順が安心です。例:「体調不良で集中が落ちています。今週は会議の同席に切り替えさせてください。再来週に一度、業務量を相談したいです」。具体的で短い言い方にすると、関係を壊さずに境界線を守れます。
会社員の方は、経済的な心配を減らす制度も確認を。病気やけがで働けない状態が連続3日以上続いた4日目から、条件を満たせば給付が始まり、支給期間は通算1年6か月です。就業規則とあわせて、窓口に確認しましょう。
つらさが長引く、あるいは日常に支障が出ているときは、医療機関やカウンセリングの活用を検討してください。状態に合った治療や環境調整をご一緒に考えます。