もやもやは頭の中にあるうちは輪郭が曖昧で、考えが堂々巡りしがちです。短時間でも「書いて言語化」すると、不安の正体が具体化し、脳の負担が下がります。研究でも、ストレス体験を言葉にする習慣は、気分・不安・睡眠・身体指標の小さな改善につながることが示されています。
やり方はシンプル。タイマーを3分に設定し、手を止めずに書き続けます。①今の気持ちを一文(例:今日は焦りが強い)。②出来事の事実(誰が、いつ、何を)。③最悪の予測と根拠。④別の見方・反証。⑤「明日の一歩」を一つ。手書きでもスマホでも構いません。終えたら保存せず破ってもOK。大切なのは“評価せずに出す”ことです。
書いていると感情語が変化し、体の力が少し抜けるのに気づくはず。頻度は週3回程度から。就寝直前は思考が活性化して眠りを妨げることがあるため、夕方〜夜の早い時間がおすすめです。繰り返すうちに、思考と事実、感情と身体感覚を区別する「メタ認知」が育ち、衝動的な反応を避けやすくなります。
つらさが強いテーマでは、無理をせず短時間で区切る・安全な話題から始める・必要に応じて専門家に相談する、を忘れずに。やることが明確になったら、小さな行動で終えるのもコツ(例:未送信のメールを5分だけ下書き)。“書く”は無料で、いますぐ始められるセルフケアです。
なぜ効くのか。言葉で感情にラベルを貼ると、脳は「何が起きているか」を整理できます。出来事と解釈を分けて書くことで、過大評価していた脅威が現実的な大きさに縮み、行動可能な一歩が見えます。続けるコツは、時間と場所を固定し、お気に入りのノートやテンプレートを用意すること。3分で足りなければ5分まで延長しても構いません。
トラウマ体験やフラッシュバックが強い場合は、安心できる支援者の同席や、呼吸法・グラウンディングを先に練習するなど安全策を。書き終えたら温かい飲み物を一口、肩回しをして“切り替えの儀式”で締めましょう。小さな達成感の積み重ねが、自己効力感をじわりと引き上げます。
完璧に書こうとすると筆が止まります。誤字脱字や論理の整合性は気にしないでOK。“感情の天気予報”のように、強さを0〜10で数値化して書き添えるのもおすすめ。タグ(仕事/家庭/健康など)を付けておくと、後から傾向が見えます。忙しい日は箇条書きでも十分。大切なのは、頭の外に一度出して、心にスペースを空けることです。