腸と脳は神経・免疫・ホルモンを通じて双方向に影響し合っています。体内のセロトニンの多くは腸で作られ、腸内細菌はこの産生や神経伝達に関わる物質にも影響します。つまり「腸を整えること」は、気分や睡眠の土台づくりにも役立つ可能性があります。
基本は三つ。第一に、食物繊維と発酵食品を毎日少しずつ。例:納豆・ヨーグルト・味噌汁・豆類・緑黄色野菜・果物・きのこ・海藻・雑穀・オリーブオイル。第二に、朝のリズムをつくる(起床時刻を一定に、朝の光、朝食を抜かない)。第三に、適度な運動と腹式呼吸で腸の動きを促すこと。十分な水分も忘れずに。
急激な食事法や高価なサプリに飛びつく前に、「多様な食品をバランスよく」「2〜4週間は続けて変化を観察」を合言葉に。人工甘味料や超加工食品の取り過ぎは腸内環境に影響する可能性が指摘されます。アルコールは睡眠を浅くし、過度のカフェインは胃腸を刺激します。
忙しい日でも続けやすい一例:朝はごはん+納豆+味噌汁+果物、昼は野菜たっぷりの丼や蕎麦、夜は魚・豆腐・きのこ・海藻を使った一皿に。色の数(5色以上)を目安にすると自然に多様性が保てます。便通の大きな変化、腹痛や血便が続くときは自己判断を控え、消化器・精神科と連携して対応していきましょう。
腸活はストレスケアと組み合わせると相乗効果が期待できます。ゆっくりした呼吸や瞑想、ぬるめの入浴は副交感神経を優位にし、腸の動きを助けます。週150分のウォーキング程度でも腸内環境の多様性に良い影響が示唆されています。買い物の合言葉は「色と食物繊維」。原材料表示を見て、砂糖・添加物の多い超加工品は“毎日は選ばない”工夫をしましょう。
なお、腸はあくまで全体の一部。内服中の薬を自己判断で中断しないこと、摂食障害や過敏性腸症候群などが疑われる場合は診断と治療を優先することが大切です。心とからだの両面から整えることで、ゆっくりと“安定した自分”が育っていきます。
観察の目安は「回数・形・におい・お腹の張り」。理想は“するっと、楽に、毎日〜隔日”。野菜は両手一杯、果物は手のひら一つ分を目安に。水分はこまめに補い、就寝前の飲み過ぎは夜間の中途覚醒につながるため控えめに。無理なく続けられる範囲で、少しずつ整えていきましょう。
メンタルの波は誰にでもあります。焦らず、できる日から少しずつ整えていきましょう。