心のクリニック 医療コラム
2026年1月13日
■「境界線」が整うと心が軽くなる:人間関係ストレスの見取り図

境界線とは何か
境界線(バウンダリー)は「どこまでが自分の責任で、どこからが相手の領域か」を区切る考え方です。曖昧だと、頼まれると断れない、相手の機嫌に振り回される、罪悪感で予定を崩す、といった形でストレスが積み重なりやすくなります。仕事・家庭・友人関係など場面を問わず起こり、結果として不安や抑うつ、睡眠の質の低下にもつながることがあります。

境界線が崩れたサイン
「NOと言うと見捨てられそう」「期待に応えないと価値がない気がする」「相手の感情を落ち着かせる役を引き受けがち」などが続くと、心のエネルギーが消耗します。いわゆる“我慢の貯金”が増えるほど、急に怒りが出たり、無気力になったり、体の緊張や頭痛・胃の不調として現れることもあります。職場では、業務範囲の曖昧さや連絡の即時対応(メール・チャット)が負担を増やし、「休んでいるのに休めない」感覚を強めやすい点も要注意です。

アサーションと認知行動療法の視点
境界線を扱うときは、主張の強さではなく「率直さ+相手への配慮」のバランスが鍵になります。アサーションは、言い方の型というより「自分も相手も尊重する姿勢」に近い考え方です。認知行動療法では、自動的に浮かぶ思考(例:断る=悪い人)を点検し、現実的な見方を増やしていきます。こうした整理が進むと、対人場面での緊張や反すうが和らぎ、集中力や回復力が戻りやすくなります。関係性が変わると、同じ出来事でもストレス反応が小さくなることがあります。